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「販売」

オイルマッチは完成したが、それが売れないと目的の半分を達成できない。

今回、オイルマッチを開発した目的は、銃のパーツ制作のための技術習得と、売り上げによって生活費を稼ぐ事だからだ。


前者のほうは、今回、精密金属加工の実践と言う部分はクリアできていそうだ。

後は売れれば完璧なのだが、ここは、やってみないと分からなかった。


「値段はどうするんです?」

迅代はオイルマッチの販売価格をどう考えているか聞いてみる。

「そうですねえ・・・そんなに凝った物でも無いので、1日頑張れば製品20個分ぐらいは部品が作れますかねえ」

リォンリーネはオイルマッチを眺めながら言った。


その言葉を基に迅代は考える。

「それをリォンリーネさんが組み立てるのにもう1日で、俺が並行して製品検査とオイル充填を行うとして・・・」

「頑張れば2日で20個って所ですかね」

迅代は生産の見積もりをしてみる。

部品製作と部品の組み立ては魔法で加工している部分が有り、今の所リォンリーネしか対応できない。

「でも、他の製品や銃制作の事も考えたいので時間の余裕も作りたいですね」

「1週間で40個ぐらいなら余裕がありつつ量が作れる感じですかね」


それを聞いてリォンリーネは価格を考える。

「何処にもない商品ですから、オイルを充填した即使える完成品で最初は1個500ピネ※ぐらいだといいかもですね」

※約5000円

「40個全部売れれば、2万ピネ※、結構良い売り上げです♪」

※約20万円

リォンリーネは商売人の顔になって目を輝かせる。


「でも、そう簡単に全部売れますかね?」

迅代は甘く見積もりすぎのように思った。

「ふっふっふ、ジンダイさん、わたしはこれでも商売をそれなりにやって来てるんですよ」

リォンリーネはちょっと自信ありげに話し出す。


「このオイルマッチは、他の店に卸し販売しようと思うんですね」

リォンリーネの言葉に迅代はなるほどと思った。

リォンリーネは続けて話す。

「最初はこの都市の色々な道具屋に1店あたり1個、無料で差し上げるんですよ」

「卸価格は1個500ピネですよ、それから、他の店にも渡してますよ、と言って」

「そして、それを自分で使うのも、店頭で売るのも自由、値段も自分で付けていいですよと」

「それが本当に500ピネ以上の価値が有ると思えば自ずと注文が来ると言う話です」

「もし、500ピネが高いと思えば、価格交渉に来るかも知れません」

「それに、他の店にも回しているとなれば、注文の競争になるかも知れません」

「ふっふっふ・・・これは儲かるはずです、ふっふっふ」


迅代は良い案だと思った。

「確かに、それなら、商品の生産と次の開発に時間を使えるな」

その言葉にリォンリーネが答える。

「ええ、わたしも好きな開発作業が出来て、好都合です」

「早速作って他の道具屋にばらまいてきますよ」


迅代がリシュターに来て10日ほどが過ぎたが、銃制作の工程は少しづつではあるが前進していた。


しかし、迅代やリォンリーネが想像もしていなかった、新たな問題が起ころうとしていた。

この都市で一番大きなアトラーゼ商会の子息、マルクが、リォンリーネが店を開けない事を不審に思い店の周りをうろついていたのだった。

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