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「尋問」

すでに夜になっていたが、ボーズギア皇子の身柄を確保するべく、セレーニアと近衛隊第四部隊はアーロス子爵の別荘に向かった


アーロス子爵の別荘はアーロサンデの郊外の一角にあった。

街中にも関わらず、広い敷地が確保され、樹木なども植えられた庭の有る豪勢な屋敷であった。


近衛第四部隊隊長のジェネイルは隊を4隊に分けて、建物を包囲させた。

法衣の完了後、正面から、セレーニア、護衛の二人、そして自身と、アーロス子爵、そして数名の兵を連れて建物に入って行く。


建物からは使用人が出てきて困惑していたが。アーロス子爵が指示し下がらせる。

そして、ボーズギア皇子の居る部屋へ向かう。


「コンコン」

部屋の扉をノックして、セレーニアが告げる。

「ボーズギア皇子殿下、わたくしは皇帝陛下の勅命により参りました、セレーニア・ヴィジランテと申します」

「面会いたしたく、お願いいたします」


少しの間、返答が無かったが、中から「入られよ」との声が聞こえる。

「失礼いたします」

セレーニアと屋敷に突入したメンバー全員で部屋に入る。


「これは、大勢で騒がしい」

ボーズギア皇子は平然と呆れたような口ぶりでセレーニア達を迎え入れる。

ちらりとボーズギア皇子はアーロス子爵の様子を見る。

アーロス子爵はうなだれて抵抗する気持ちは全く無いようだった。

そしてセレーニアの後ろに居る、近衛隊第四部隊のジェネイルを認め、大まかな状況は悟ったようだった。


「ボーズギア皇子殿下、まずは、アーロス子爵なのですが、皇帝陛下の勅命の書を持つわたくしを暗殺しようとしました」

「その反逆行為を、この近衛第四部隊の方たちに救出していただきました」

セレーニアがボーズギア皇子に説明をし出すと、ボーズギア皇子が口を挟んで来た。

「おお、そうであったか、わたしも我が友ビゼールが恐ろしい行為を行っていないか心配していたところだ」

突然の言葉に怪訝な顔をするセレーニアと面々、しかし、ボーズギア皇子は続ける。

「先の戦いで負傷の傷が有ったとは言え、もう十分に回復したのに、わたしと部隊を引き離し、わたしを幽閉同然にここに押し込めていたのだから」


その言葉を聞いて、アーロス子爵は目を見開き、反論する。

「ボーズギア殿下!そ、それは余りに!閉じ込めていたなど、そのような事は!」

「黙れ!ビゼール!」

ボーズギア皇子は有無を言わせず、自分の言葉を押し通そうとする。


そこにジェネイルが割って入る。

「ま、正直な所」

そこまで言って、一旦区切る。そのことで、次の発現に注目が集まる。

「ボーズギア皇子殿下にも反逆の嫌疑がかかっております」

「まずはアーロス殿の言い分も聞いてみたいのですが?」

ジェネイルの言葉に、ボーズギア皇子が勢い込んで反論する。

「わたしが反逆?誰にモノを言っているのか分かっているのか?」

高圧的な脅しを言うボーズギア皇子に、全く恐れていないようにジェネイルは言う。

「ええ、わたしは皇帝陛下に忠誠を誓う身、皇子殿下の配下では有りません」

「うぐっ」

ボーズギア皇子は怒鳴り散らしたい気持ちをグッと抑える。

『こ、このままでは、さすがのわたしも罪を問われてしまう・・・』

『しかし、この状況ではこの場で覆すのは困難、皇都に帰って権力でひっくり返すしか・・・』


翻って、ジェネイルはアーロス子爵のほうに向き、言った。

「何故、このような事態を引き起こしたのです?アーロス殿」


完全に諦めているアーロス子爵は震えながら話し出した。

「わ、わたしは、ボーズギア皇子が勇者ジンダイ、さまに・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

アーロス子爵が言葉が継げないほど息が荒くなる。

「それで・・・はぁ、はぁ・・・」

そして、口から泡を吹いてその場に倒れる。


誰も気づかなかったが、すっとアーロス子爵の足元に黒い影が有り、蛇の姿が消えていった。


「アーロス子爵!」

その場の者がアーロス子爵を支えるが全身が痙攣している。

ボーズギア皇子も含め、その場の者全員が、何が起こったのか分からないでいた。

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