なんだか強そうな魔物が攻めてきた件
第9話
「王のフィールドが破られたか、ふたりはここでまっておれ」
エリスさんは現場へ走った。
僕と未来は顔をあわせてエリスさんの後を追った。
現場についた僕は思わず立ち止まった。
蜘蛛のような化け物がそこにはいた。
「ほほう、なかなかの魔物だな、だが、私の魔法剣術があればお前などこうだ」
エリスさんの動きが止まった。どうしたのだろう。
「剣おいてきちゃった」
舌をだして、てへっとこちらにむいて言った。
てへぺろをしてる場合じゃない!!
「ちょっとエリスさんどうするんですか?」
「心配するな、相原殿、剣がないなら魔法で仕留める。いくぞ、メガフレア」
エリスさんの手から炎の火球が魔物に向かって繰り出された。僕に使った魔法だ。
魔物はあっという間に燃え尽きた…かに思えたがなんと二つに分裂した。
「なんと、増えたぞ、増えるなら始めに言わんかい、もう一発くらえい」
増えた一匹に再度魔法を打ち込む。
「よし、あと一匹じゃ」
すると残った一匹がまた、分裂をした。
「なんじゃとー」
エリスさんはイライラし始めた。
「エリスさん!!」
僕は気づいたら大声でエリスさんを呼んでいた。
「なんだ?あぶないからさがってなさい」
「あの、昔みたアニメで同時に倒さないと消滅しない敵がいたんです。おそらくこいつもそうなんだと思います」
「アニメ?なんだそれは。よくわからんが同時に仕留めればよいのだな」
「はい、そうです。エリスさんは複数に攻撃をあたえる魔法は使えますか?」
「使えるには使えるのだが、剣と合わせないと使えない技なのだ」
エリスは罰の悪そうな顔をした。
くそ、どうする。魔物はどんどん建物を壊しにかかる。
僕がやるしかない。僕はごくりと唾を飲んだ。
「エリスさん、僕が手伝います。息をあわせて同時に倒しましょう」
「しかし、フジワラ殿は魔物相手は初めてであろう」
「時間がありません、これ以上は被害が増えてしまいます」
エリスさんは少し考えて
「わかった、タイミングはお主に任せる、私は詠唱なしで、魔法を出せるからな」
「では、メルメルメルメルプリンプリンのまで言ったら、メガフレアを出してください」
「それって言わないとダメなの?」
未来が思わずつっこんだ。
「大事なことなんだよ」
「痴話喧嘩はそれくらいにして、フジワラ殿用意はよいか」
「はい、ではいきますよ、メルメルメルメルプリンプリンのギガフレアー」
「メガフレア」
僕とエリスさんから強力な炎が2体の魔物にそれぞれぶつかった。
二匹の魔物は燃えて朽ちた。どうやら増えたり再生することもなさそうだ。
「やったー」
「さすが、エリス様」
「あの一緒にいる男もすごいぞ」
村人の歓声が聞こえる。
僕は得意気になった。
エリスさんは浮かない顔をしていた。
(おかしい、今までこんなタイプの魔物はいなかった、やはり魔物は常に進化している)
「怪我をしたものはいないか?今から兵をむかわせる」
すると未来が言った。
「あの、エリスさん、私には賢者としての素質があるんですよね?ねえ、徹。あのメルルンは回復の呪文とかある…の?」
後半は恥ずかしそうにきいてきた。
「もちろんあるよ、メルメルメルメルプリンプリンのみんな元気になーれヒールっていう呪文」
未来は絶句していた。
「未来、もしかしたらできるかもしれないよ」
「未来殿、やってはくれまいか?」
「わかりました、わかりましたよ。やればいいんでしょ。」
「もう、どうにでもなれ、メルメルメルメルプリンプリンのみんな元気になーれヒール」
「ああ、もう恥ずかしくて死にたい」
未来の手から光が出現し怪我をした村人たちにその光があたっていく。
すると村人たちの怪我はみるみるうちに治っていく。
「おお、すごいぞ、相原殿」
「すごいよ、未来。あんなに完璧にメルルンをやりきるなんて」
「徹あんたは、だまってて」
そうして僕らは城下町の人たちに認められることになったのだ。
もし、少しでも興味を持って貰えたらブックマークと☆の評価をいただければ嬉しいです