他には何もなかった件
第72話
僕らは村の隅々までさがしたが特に何も見つからなかった。
「どうやら、さっきの石板だけだったみたいだね、ロミアちゃん、ほんとに大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。大事に持ってます」
「よし、もう何もなさそうじゃな」
エリスが戻ってくる。
「饅頭娘、そっちはどうだ?」
「はい、なんだか食べ物の作り方が書いてある本がありました」
「そうか、やつのかもな」
エリスは思いに更けるように言った。
「でもなんでこの村にあんな石板があったんですかね?」
「そこなんだよ、徹。村としてはそこまで大きくはない。なのにこんな危険なものがあるのが不思議でたまらん」
エリスが腕組みしながら言う。
「昔ここに住んでた人で勇者のような人がいたとか?」
未来が言う。
「いや、この辺でその噂はきかないな、それにむしろこの石板の文字を読めたのが、あの娘だ。これはむしろ魔物が作り出したものかも知れん」
たしかに、その可能性もあるのか。
でもあんな危険なものやっぱりロミアに持たせとくのは嫌だなぁ…
「とにかく、もうこの村には何もなさそうだからでようぜ、あんまり物色してるのも気が引けるしさ」
福原にしてはまともな意見を言う。
「そうだな、それに徹が倒した魔物があの石板を守ってた可能性も高い、やつが死んだのが知れて新たな追手が来る可能性もあるから、先を急ぐか」
僕らは村を出て次の目的地に向かうことになった。
追手か…これからはロミアを守ることを最優先にした方がいいな
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