一段落の件
第686話
「いやだ、いやだぁぁぁぁぁ」
「死ぬ時くらい醜態をさらすのはやめなさい」
「か、体が体がぁぁぁ」
悪の四葉の体が分解されていく。
「封殺!!」
「がっ!!」
「これで生き返ることはないだろう…」
さてとこれで転移はやんだか。
しかしこの力を解放しても魔王の気配を感じることが出来ない。いったいどういうことだ。
もしかして魔王は…
「四葉!!」
「四葉さん!!」
沙羅と遥がみんなを連れて転移してくる。
「あら、皆さん」
「皆さんじゃないわい!!世界を壊す気か!!」
「相手がそれだけ強かったんですよ。見てください。血だらけです」
(確かにボロボロだけど…ダメージがなさそうだな)
「服もこんなに破けてしまいました」
「ちょっ、四葉さん。肌を見せないでください」
遥が慌てて隠す。
「あっ」
「あ、じゃないわよ」
未来が僕のほっぺをつねる。
隣を見ると福原もヒデリさんにつねられている。
同士よ…
「それよりさっさと力を収めてよ」
「ああ、すいません。でも今力を収めるとダメージが治りきってないので死にますが大丈夫ですか?」
「いや、だめじゃろ」
「じゃあ、しばらくはこのままで」
「ならちょうど良いわ。四葉、私と戦って」
「私達の力がぶつかり合うと大変ですよ」
「大丈夫、さっき戦ったやつよりは弱いから」
「自分の力をちゃんと評価できてるのは偉いですね」
「私は四葉に追い付きたい」
「無理ですよ。沙羅さん!!」
「いいじゃないですか、遥。沙羅の性格が出てて。わかりました。お相手しましょう」
「ちょっ、ちょっと待て。世界が滅びる」
「その辺はちゃんと調整しますよ」
「あ、あの!!」
「どうしました?徹さん」
「僕も戦わせてください」
「えぇ、ちょっと徹。無理よ!!」
「このままじゃ、ダメなんだ」
「……わかりました。あくまで訓練ですが2人は私を殺すつもりで来てください」
「はぁ、また四葉さんの悪いところが」
「自己犠牲か。迷惑じゃな」
「徹、全力で行くわよ」
「ああ」
「はぁぁぁぁぁぁ」
僕と沙羅は一気に力を解放する。
「ふむ」
沙羅の第3形態は安定してきましたね。
徹さんの力も沙羅とエリスさんには劣るけど十分か…
「行くわよ。四葉」
「僕も行きます」
「わかりました。では行きますよ」
一瞬で周辺の空気が変わる。
「あっ」
「うっ」
僕と沙羅は金縛りにあったように動けなくなる。
「あれは動けないねー」
「無理だな」
「俺にはわからねぇが」
「あたいにも」
「殺気を出した瞬間に殺されます」
カエデがぽつりと言う。
「あの人はこの世界に居ては行けません」
ロミアがぶるぶると震える。
「はぁ、早く帰りたいです」
遥が慣れたようにぼやく。
「お主はあの力に恐怖はせんのか?」
「エリスさんこそ平気そうですが」
「そうでもない。足が震えておる。それにいかに殺気を出さないように気を張っておる」
「私も同じですよ」
「どうした?こないのか?」
来ないとかのレベルではない。
もはや殺されたようなものだ。息が出来ない。
沙羅は…
沙羅も同様に動けないようだ。
「くっ、なんなのよ。こんなの反則よ」
「無理はしなくていいわ。降参ならそれはそれで恥ずかしいことではない」
「なめるなぁぁぁ」
沙羅が力を上げて四葉に向かっていく。
「その度胸大したものね」
「真覇激竜閃」
「攻撃まで放つとすごいわ、沙羅」
四葉は攻撃を簡単にかわす。
「ジオインパクト」
沙羅を強力な重力が襲う。
「ぐはっ」
沙羅は一瞬で気を失う。
「よくやりました。さて、徹さん。稽古は終わりです」
四葉は力を収める。
「は、はい」
僕は汗だくになっていた。
何も出来なかった…
「四葉さん!!力を収めたら」
遥が慌てる。
「あっ。げふぅぅぅ」
四葉が盛大に口から血を吐き出す。
「うわぁぁぁぁ、四葉さん」
遥がサイコパワーを送る。
「なんかさっきの人とは思えないね…」
ダイヤ呆れる。
「ああ、別人じゃな」
「しっかりしてくださーい」
四葉はぐったりと倒れている。




