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第684話
「今の戦力で魔王の城に行くのはリスクすぎる」
「ちなみに魔王の城はどちらに?」
「まだまだ遠くじゃ」
「ちょっと四葉さん!!」
遥が慌てる。
「私が跳びます」
「ああ、やっぱり」
「魔王は倒しませんがその能力者だけ倒してきます」
「さすがにそんな都合よくいかんだろう」
「能力者をおびき寄せようぜ」
ヒデリが割って入る。
「でもヒデリさん。どうやって?」
「転移してきた連中をひたすら倒せば怒ってでてくるんじゃねぇか?」
「……」
「そう上手くは行かないかと」
「さすがに短絡的じゃな」
「なんでぃ」
「次にその能力者が力を使った瞬間に私がそこに跳びます。そしてここに拉致するのはどうでしょうか」
「表現が気になるがそれが現実的か?」
「でも、魔王の城に転移ができるのでしょうか?」
遥が四葉に投げ掛ける。
「一か八かです」
「あの、もしかして魔王自身が転移を行っていたら」
ロミアがおずおずと声をかける。
「魔王にそのような力が?」
「いえ、今まで見たことはありませんが可能性の1つとして考えた方が」
「確かに、とりあえず乗り込むしかありません」
「任せていいのか?」
「ええ、私達の世界も巻き込まれていますので」
魔王か…私が倒すわけにもいかない。
いやそもそも私で倒せるのか?
「もし相手が魔王だったらどうするのじゃ?」
「1度撤退します。勝てるか分かりませんので」
「お主なら倒せそうじゃがなぁ」
「第3形態が使えない以上期待しすぎはダメだよ」
沙羅がたしなめる。
「使えないわけではないんですけどね」
すると強力な魔力が発せられる。
「これはもしかして」
「どうやらそのようですね。では行って参ります」
「無理はするなよ」
四葉は姿を消していく。
「良いのでしょうか、僕達はここにいて」
「言うな、私も不甲斐ない気持ちだ」
「ここは、城の内部ではないな」
「誰だ、貴様は」
黒いローブを被った魔人?が声をかける。
「お前が転移を行っている者か?」
「ほう、よくわかったな。そしてよくここまで来たな人間」
「ええ、これ以上転移を繰り返されると困るから」
なんだろう、この感じどこかで
「しかし、まさかお前が乗り込んでくるとはな」
「私のことを知っているのか?」
「それはもちろんだ」
魔人?はローブを取る。
「なっ!!」
「ふっ、驚いたであろう。さぁこの杖を奪ってみろ。さすれば転移は出来なくなる」
「そう、お前が相手なら私が責任を取らないといけないようね」
「ふっふっふ。やれるかな」
「ええ、この世界が滅びない程度にはやらせてもらう」
四葉の目が銀色に光る。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「はっはっは、さすがだ、さすがは…」
四葉のオーラで魔人?の声が書き消される。
「うわっ!!」
「ま、まずいです!!」
「何が起きておるのじゃ、遥」
「四葉さんが第3形態を発動させようとしています」
「な、なんだって」
「どうやら魔王に当たっちゃったかなー」
「呑気な事を言ってる場合ではないぞ。世界が…」
「沙羅さん、私達も力を解放します」
「えっ、それだと世界が壊れる」
「違います、四葉さんの気を少しでも防ぐのです」
「そんなこと出来るの?」
「私達の力をぶつけて世界の歪みを最小限に抑えるのです」
「僕達もやります」
「そうじゃな。無いよりはましだろう。ダイヤ!!」
「カミア参上!!」
「いいですか?皆さん。ひたすら気を上げて下さい」
「ああ、行くぞ。皆のもの」
「はい!!」
「それは第3形態か?」
「いや、まだ第2形態だ」
「それで私が倒せるかな?」
「お前はサイコパワーが低かったと聞いている。十分だろう」
「ふん、やつらの情報に騙されたな」
「何!!」
魔人?はサイコパワーを発動させる。
「くっ!!この力は…」
「死ぬがいい。私は1人で十分なのだよ」
強力なサイコパワーを放った魔人の容姿はまさしく四葉だった。




