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迷いの件

第669話


「く、くそぉ、なんなんだ」

アイゼンと気絶をしている徹が吹っ飛ばされた研究所から飛び出してくる。


「まぁ、普通じゃ考えられんことが起きてるからのぅ」


「そんな呑気なことを言ってる場合ですか!!」

未来がエリスに食って掛かる。


「まぁまぁ、私だって驚いているんじゃよ」



「くそ、貴様か小娘」

アイゼンが沙羅を睨み付ける。


「ええ、そうよ。私がやったわ」

沙羅は余裕の表情でアイゼンを見つめる。


「この小娘、なんという力だ」

アイゼンは徹のこめかみに拳銃をつけている。


「別にあんなのたいしたことないわ」

沙羅は刀をブンブンと振り回す。


「なぜだ」

アイゼンの口から出た言葉は意外なものだ。


「はい?」


「なぜそれだけの力を持っているのにこの世界の人間の味方をする」


「冗談?それともくだらない話?そんなのはいいからさっさとその男を返してくれない?大事な仲間なのよ」

沙羅からは殺気が放出されている。


「すごい、気迫じゃのぅ」


「そうだねぇ、あれは…殺すねぇ」


「えっ、そんな物騒な」


「見たくない者は目を瞑っておれ」



「そうだ、手を組まないか?君のその力と私の発明力があれば世界征服が出来るぞ」


「世界征服か…考えたこともなかったわ」

沙羅はにやりと笑う。


「おいおい、沙羅のやつ大丈夫かよ」


「大丈夫だろ、ヒデリちゃん」



「そうだろう。さぁ私と手を組もう」


沙羅はふぅとため息をつく。


「興味ないわ。やるなら勝手にやって。まぁその前に殺すけど」

沙羅は刀を強く握る。


沙羅の発言に未来達に緊張が走る。


「ふん、小娘の分際で。せっかくの提案を台無しにしたな」


「虫酸が走るのよ。あんたみたいなくそな大人は力を振りかざして弱者を見下すようなやつはね」


「ふん、ばかなやつよ。それだけの力があると言うのに。所詮は子供。もういい、この話しはなしだ。さぁこの拳銃が見えないのか」


「沙羅、あまり刺激しないで」

未来が声をかける。

しかし沙羅は未来の言葉を無視して話を続ける。


「引き金を引いて弾が発射されるのは早くてもせいぜい1秒…」


「はぁ、なんだって?」

アイゼンはわざとらしく耳を近づける。


「あんたの元に私が飛ぶのが0.2秒。そしてここに戻るのは0.3秒。その後にあんたの首をはねるのに0.2秒。つまりあんたは何も出来ずに死ぬだけよ」


「は、はっはっは。何を言い出すかと思ったら馬鹿げたことを言う。計算も出来ないガキが仲間とはこの小僧も哀れだな。さぁやれるものならやってみるがいい」


「そう、じゃあさようなら」


「ちっ」

アイゼンは引き金に手をかける。

未来は顔を手で覆う。


それは一瞬の出来事だった。


すると目の前にはアイゼンの拳銃をはね飛ばした姿勢で固まる沙羅がいる。


沙羅が始めに立っていた場所には徹が倒れている。


「な…外した!!」

沙羅は自分の動きに驚きを隠せず体が動かない。


「ふん、確かに小僧は取られたが詰めが甘いな」

アイゼンはスタンガンを沙羅に向ける。


「ぐぼぉっ」

アイゼンは口から大量の血を吐き出す。


「えっ」

沙羅は驚き体が余計に動かない。


「これはお前に殺されたこの世界の人間の怒りだ」

エリスがアイゼンの腹部を貫く。


「が、貴様。私は天才発明…家だぞ」


「失せろ、外道が」

エリスは手から灼熱の焔を出してアイゼンを焼失させる。


「ふん、外道は匂いも不愉快だな」

エリスはなんの躊躇もなくアイゼンを殺した。


「え、エリスさん」



「徹!!」

未来が徹に駆け寄る。


「う、うう。体が動かない。でも一瞬の出来事だったね」


「私にも見えなかったよー。カエデとエリス様は見えてたみたいだけど」


「は、はい。何とか目で追えました」


「す、すげぇな。カエデ」



「沙羅」


「は、はい」

沙羅はゆっくりと刀をしまう。


「少し話がある。付き合え」


「わ、わかりました」


「おい、ダイヤ。私は沙羅と話がある。徹の手当をして少し休んでろ。それと皆は今の光景を忘れろ」


「忘れろって簡単なこといいますなぁー」


「茶化すな。行くぞ、沙羅」


「は、はい」



「何を話すんだ?」


「エリス様が沙羅に大人の魅力を伝えるんだよー」

ダイヤはにやにやと笑う。


「大人の色気ってエリスさんのあのがさつな性格で?」

未来はふっと思わず笑う。


「でも、大人の色気はあるよなぁ」

福原は思わず鼻を伸ばす。


「ぐおっ」


「何、でれでれしてやがんだ」

ヒデリがハンマーで福原のお腹を殴る。


「わ、わりぃ」


「それはないとしても大事な話なんですよね?ダイヤさん」


「そうだね、まぁゆっくりまとうやー」



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