海を渡りますの件
第663話
「ヒデリ、向こう岸までどのくらいなの?」
「まだ1時間はかかりそうだな」
ヒデリは沙羅の顔を見る。
「何?」
「いや、なんでもねぇよ」
するといきなり爆発が起きる。
「ぬぉー、なんじゃ」
「船がやられたの?」
「いや、何かが爆発したみてぇだ」
「もしかして、機雷?」
僕は海中を覗き込む。
「機雷って魔物がそんなもの用意できるのかよ」
「機雷かどうかはわからないけど似たようなものが仕掛けられているってことじゃないかな」
「機雷とはなんじゃ?」
「ええと、船を攻撃する地雷みたいなものです」
「地雷もよくわからんがつまりそれに触れたら爆発すると言うことじゃな」
「そうですね」
「ふむ、どうしたものか。少しスピードを緩めるしかないか」
「でもいつかはぶつかっちまうかも知れねぇぜ」
「ここは私に任せてください」
カエデが胸を張って船の船頭に立つ。
「何をするきじゃ?」
「私は忍者ですからね」
カエデはクナイを出す。
「ここから爆弾を射ぬきます」
「み、見えるのか?あたいのレーダーを使った方が」
「大丈夫です。忍者は特殊な訓練を受けているので目が常人より優れておりますのだ」
「だ、大丈夫なの?」
「このままお陀仏にはなりたくねぇぞ」
福原が物騒なことを言い始める。
「では、安心させるためにお見せしましょう」
カエデは微動だに動かず海中を見続ける。
「すごい集中力だ」
「あんなに集中しているカエデは見たことないねぇ」
「見えた、疾風式クナイ術閃光のクナイ」
「なんじゃか、変な名前じゃのう」
「さすがだね、ハヤテは」
するとカエデが放ったクナイが爆弾にヒットして爆発を起こす。
「おお、すげぇぞ。カエデ」
「ふふん、どんなもんですか」
「よし、じゃあスピードはこのままで再出発するぞ」
「任せてください」
カエデは次から次へと爆弾を処理していく。
「さすが忍者だね」
僕は思わず興奮する。
「興奮はそこまでね」
沙羅は上空を見上げる。
「えっ」
上空には吸血鬼のような魔人が複数人飛んでいる。
「あいつが爆弾魔ね」
「本当だ、手に爆弾を持っている」
「のんきに見てる場合じゃないでしょ。あの爆弾を落とされたらまずいわよ。ディフェンスシールド」
「キキキキ、そんなものでこの爆弾を防げるか」
蝙蝠魔人は爆弾を落とす。
シールドにヒビが入るが何とか防ぎきる。
「くっまた落とされたらまずいわ」
「私が倒してくる」
沙羅が刀を持って足に力を入れる。
「はぁっ!!」
そしてそのまま上空までジャンプする。
「何、爆弾を投げっ」
沙羅はそのまま斬激を浴びせる。
「よし、我々も続くぞ」
僕とエリスさんも上空に飛ぶ。
カエデも着々と爆弾を処理していく。
「くそ、まだまだ到着しねぇのにすごい歓迎だな」
「ヒデリちゃん、焦るなって」
「わかってるけどよ」
「俺なんて飛べないし飛び道具もないし」
「ならあたいのミサイルランチャーを使いな」
「お、ありがてぇ」
福原はミサイルランチャーを肩に背負う。
「おらおらぁ、ミサイル発射だぁぁぁ」
「あ、ちょっとバカ」
爆弾を持ってる相手にミサイルとか…
案の定蝙蝠魔人にミサイルが辺り大爆発を起こす。
「ぬぉぉぉぉぉ」
「うわわ」
エリスと徹はバランスを崩して海に落ちる。
「やべえ」
「バカ、何やってるのよ」
「沙羅、後ろ」
沙羅をめがけて爆弾が飛んでくる。
「ちっ」
沙羅は空間転移で魔人の上空に現れる。
「覚悟」
魔人は両断される。
まだ数はいるか。
「気をつけんかい、マッスル」
エリスが海面に顔を出す。
「すいません、あれ徹は」
「徹は泳げないはず」
「やべぇ、俺が今助ける」
福原は急いで船から飛び込む。
「ちょっと、ちょっとみんなバラバラじゃないかー」
「ダイヤ、早く私を引き上げろ」
「はいはい」
「サイコバスター」
ちっ、倒す度に爆発起こしてめんどくさい。
「ブラックホールバスター」
ロミアが放ったブラックホールに魔人は飲み込まれていく。
「あら、やるじゃない。チビロミ」
「これなら爆発は押さえられます」
「じゃあ、あの魔人達を1か所にまとめるからよろしく」
「ええ、あ、はい」
「あと10人」
沙羅はものすごいスピードで空間転移を繰り返し魔人を1か所に蹴り飛ばす。
「わ、わ。まだ力が」
「仕方ない、サイコリング」
沙羅は光のフープを出す。
すると光のフープは10人の魔人を縛り付ける。
「ききぃぃ」
「今よ」
「はい、ネオブラックホールバスター発射」
魔人の塊はブラックホールによって消滅していく。
「よくやったわ、ロミ」
「はい。沙羅さんのお陰です」
チビがなくなった。仲良くなれた?




