修行は終わり?の件
第652話
「いてて」
「うぬぅ」
「でこが、でこがぁ」
3人はそれぞれ攻撃を受けたところから戻ってくる。
「ごめん、手加減できなかった」
「うむ、仕方がない」
エリスの頬はあり得ないくらい膨らんでいる。
「沙羅は少し休んでなよー。私達は修行を続けるからさー」
「えっ」
僕は後退りする。
「うむ、これだけ派手にやられてはな。我々も鍛練が必要じゃ」
「そ、そうですよね」
「じゃあ、私は休むわ」
沙羅はゆっくりと地べたに座る。
「よぉ、体は大丈夫か? あれ?」
「どうしたの!!ヒデリ」
「しー、静かにしろ」
「えっ」
「寝てますね」
カエデが沙羅の顔を覗き込む。
沙羅はすぅすぅと寝息を立てて眠っている。
「おおお、寝てる、寝てるぞ」
「ヒデリちゃん、静かに」
「わ、わりぃ。つい嬉しくて」
「それにしても座って眠るなんて」
「まぁまぁ、いいじゃないですか」
「でも、どうしていきなり?」
「あ、あの多分ですけど、沙羅さんは自分の力を理解したので寝れるようになったのかと」
ロミアはわちゃわちゃと手を振りながら説明する。
「うん、全然わからないわ」
「あうっ」
「でも心配ごとが1つなくなりましたね」
「そうだな。後は食事だけだな」
体の力が抜けていく。
久しぶりの感覚だ。
悪くない、悪くない感覚。
あいつはちゃんと眠れてるのかな…
「メルメルサンダー」
「あまい、ドラゴンバスター」
ダイヤさんと僕の攻撃がぶつかり合う。
「くっ、強い」
「やるねぇ、徹」
「テラフレア」
「うわっ」
「ダイヤモンドシールド」
「くそ、メルメルファイヤー」
僕はエリスさんに向かって攻撃を放つ。
「テラフレア連続攻撃」
「くっ、メルメルシールド」
「ダイヤモンドナックル」
ダイヤさんが僕のシールドを破壊する。
「テラフレア」
「うわ、危ない。ダイヤモンドシールド」
「3人とも乱戦ですごいですねぇ」
カエデは大福をモグモグと食べる。
「私達はどうしますか?」
「いやぁ、カミアにはしばらくなれませんし」
「個人で戦えばいいじゃねぇか」
「そうしますか」
「でもカミアで力を使いすぎてますし」
「じゃあ、まだ休みましょう」
「うぉぉぉ、メルメルパワー全開」
「おぉ、徹やるじゃないか」
「まだまだじゃ、フレイムスラッシュ」
「メルメルテレポート」
「何!!」
僕はエリスさんの後ろにまわって攻撃を加える。
「むぅ、やるな」
「いまだ、ダイヤモンドクラッシュ」
ダイヤさんは僕とエリスさんに向かってダイヤモンドの塊を振り落とす。
「メルメルサンダークラッシュ」
「テラフレア」
2人の魔法が合わさってダイヤモンドの塊が砕ける。
「隙あり」
ダイヤさんがエリスさんに蹴りを入れる。
「うお、なんじゃさっきから私を狙ってないか!?」
「ダイヤモンドパーンチ」
「1000倍ドラゴンモード」
エリスは力を一気に上げてダイヤに攻撃をする。
「げふっ」
「ついでにお前もだ」
「えっ」
僕はエリスさんにパンチの連打を食らう。
「メルメルガドリング」
「なんの、スピードが落ちているぞ」
「くっ、ダメージが」
「ダイヤモンドパーンチ」
「危ない」
僕は攻撃を避ける。
「よし!!一旦休憩じゃ」
「はい」
「やっとおわったー」
僕たちは皆の元に戻る。
「むっ、沙羅は寝てるのか」
「へぇ」
「そうだよ。静かにして」
未来が手で口元を押さえる。
「むがっ、大丈夫だよ」
それにしても綺麗な寝顔だな…
「ちょっと徹」
「は、はい」
「あんた、今見とれてたでしょ」
「い、いや。そんなことは」
「白状しなさい」
僕は慌てて逃げる。
「あやつらが1番うるさいではないか」
「んっ」
沙羅が目を開ける。
「あ、起きちゃったー」
「あれ、私…寝てた?」
「うむ、よく寝ておったぞ」
「そう、何だか頭がぼーっとしてるわ」
「よく寝れたってことだよ」
「ええ、でも敵の存在に気づくのが遅くなった」
沙羅は崖の上を睨み付ける。




