覚醒ヒデリの件
第643話
「うぉぉぉぉぉぉ」
な、なんだこの力。
メカの一つ一つがすげぇ力だ。
「むう、なんじゃこの力は」
「ダイヤモンドバスター」
「ぐおっ」
「エリス様、余所見はダメだよ」
「うむ、すまん」
沙羅の力が急激に下がっておる。
しかしこの力はなんじゃ?
「はぁはぁ。何だかわからねぇけどパワーアップしたみてぇだな」
「ちっ、雑魚がパワーアップしても雑魚なんだよ」
「じゃあ、試してみろよ。アームバスター」
ヒデリの攻撃が魔人を捉える。
「ぬぅ」
魔人は直撃をくらい吹き飛ばされる。
「ギガントミサイルストーム」
ミサイルの雨が魔人を襲う。
「ひ、ひぃ」
「くたばれ、くたばれ」
ヒデリはミサイルを撃ち続ける。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
魔人は消滅していく。
「死ね、死ね。アームマシンガン」
「ヒデリ…落ち着いて。魔人はもう消滅してるから」
沙羅がヒデリに抱きつく。
「沙羅、お前生きてたのか!!」
「な、なんとか。でもこのままだと死ぬ…未来かダイヤさんのところに連れてって」
ヒデリの体に沙羅の血がべっとりと付く。
「お、おお。任せろ」
「こっちは終わったよ」
弥生が戻ってくる。
「弥生、沙羅達の援護に」
「うん、行ってくる…いや、こっちに来たよ」
「え、何?あのヒデリのメカは」
「未来、沙羅を手当てしてくれ」
「さ、沙羅!!」
未来は急いで回復魔法を使う。
「ダイヤ!!」
「あいよ」
「「ダブルドラゴンスラッシュ」」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ」
「ふぅ、これで魔人はいなくなったか」
「そうだね。それにしても」
「うむ、ヒデリのあの力はなんなのじゃ」
「多分だけど、この間未来を助けるときに沙羅のサイコパワーをヒデリのメカが吸収したんじゃない。ナノマシンが何とかって前に言ってたけど」
「なるほどな。自己成長するマシンか」
「それよりも、沙羅がダメージを受ける回数が多くなってるね」
「うむ、それは私も気になっていた。四葉の話では力は第2段階に覚醒したと言っておったが」
「力を扱えてないわけではなさそうだけど…やっぱり弥生の言う通り体力が」
「そうじゃな。通常であれば食事も睡眠もろくに取ってない子供があれだけの力を保持していることが奇跡だ」
「そもそも今まで生きてること事態がじゃない」
「うむ、おそらく沙羅は自然と自分の体をサイコパワーで守っていたが、最近は攻撃に使うことが増えて、体の維持まで力が届いていないのかもしれん」
「そうなると、今後力を使わせるのは危険だねぇ」
「そうじゃな。戦力ダウンじゃが命には変えられん」
「ありがとう、何とか大丈夫」
沙羅はお腹を擦る。
「もう、無理しちゃダメよ」
「そんなに無理した気はなかったんだけど。油断したかな。それよりヒデリその姿」
「ああ、何だかしらねぇけど、あたいのメカが進化したんだよ」
「すごいわね。お陰で助かった」
「ああ、初めて役にたてたぜ」
「そんなことない、ヒデリはいつも役に立ってるわよ」
「ありがとよ、沙羅。それよりお前大丈夫なのか?」
「え、ああ傷口は治してもらったし」
「そうじゃなくてよ。最近ケガが多いなって」
「……」
「沙羅、お主はしばらく後方支援に周れ」
「エリスさん」
「理由は分かっておるな」
「くっ」
沙羅は思わず唇を噛む。
「どういうこと?エリスさん?」
「未来、沙羅は今自分の肉体を保護するのに精一杯なんじゃ。そうじゃろ?」
「確かに、私の衰弱仕切った体が持っているのはサイコパワーのおかげよ。だけど戦闘が出来ない程ではないわ」
「それがこのザマか」
エリスは睨み付ける。
「わ、私も行けないです。沙羅さんからサイコパワーを貰ってるから」
「それもあるが、未来を助けて以降お主はサイコパワーが回復出来ていないのではないか?」
「……」
「そうなのかよ、沙羅」
「流石ですね、エリスさん。残念ですけど私のサイコパワーの回復が遅れています。今までこんなことはなかったんですけど」
「じゃあさ、無理してでもご飯と睡眠をしっかり取ったら」
弥生がのんきに言う。
「それが出来たら苦労しねぇよ」
ヒデリが弥生を睨み付ける。
「食事はともかく睡眠は取ろうかな」
「本当か!?じゃあ球体君を最も居心地よく改造するぜ」
「お願い、ヒデリ」
ヒデリは急いで球体君に走っていく。




