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魔王もこの流れで倒してくれない?の件

第636話


「さて、明日菜。全力で来なさい。私も全力で相手をしましょう」

四葉は攻撃態勢に入る。


「四葉さんがまともに戦うのを初めて見る」


「私もよ。いつものらりくらりと本気を見せないから」


「なめるなぁ」

明日菜は力を爆発させる。

次の瞬間明日菜は地面に叩きつけられる。


「がっ!?」

明日菜は白目を剥いて気絶する。


「見えな…かった!!」

沙羅が呆気に取られる。


「さぁ、明日菜。おとなしくしなさい」


「もう聞こえてないよ。四葉」


「あら?」


「何も見えんかったがものすごい力じゃったのぅ」


「ふぅ、それにしても危ないところでしたね」

四葉は光の縄を出す。


「どこがよ。圧倒的にも程がある」


「いや、あなた達のことですよ。もう少し遅かったらこの子の餌食になってましたね」

四葉は慣れた手つきで明日菜の腕を縛っていく。


「それより、沙羅!!」


「は、はい!!」


「あなたが全快ならこの子を抑えられてましたよ。この子はあなたより力は下なんですから」


「うっ」


「体調管理をちゃんとしなさい」


「やばい、また説教が始まる…」


「そ、それよりその子どうするんですか?」


「こちらの世界に連れて保護します」


「保護?捕虜ではなく?」


「はい、確かに罪は償う必要はありますがこうなってしまった原因は私にもありますので」


「それは?」


「それは内緒でお願いします。それでは毎度毎度すいません。もう次は来ませんので」

四葉は明日菜を連れて消えていく。


「また来そうじゃな」


「最近、来すぎよ」


「まぁ、今回は仕方がないんじゃない?」


「お、徹が理解を示すなんてねー」


「いや、まぁ」


「それよりドロシーは」


「いたたた」

ドロシーは元の姿に戻っている。


「おお、回復が早いのぅ。ドロシー」


「うん、あの異界の人間が私に力を分けてくれたから」


「なんと、いつの間に」


「あの人間、もはや神に近い力を有してるね」


「ふむ、しかしドロシーが戦うとは」


「この世界を異世界の人間に好き勝手されてもと思ったんだけど返り討ちになっちゃったねぇ」


「しかし、四葉にこの流れで魔王も倒してほしいのぅ」


「それは絶対ないですよ」

僕は否定する。


「まぁ、そうじゃな。それより沙羅。体調は?」


「サイコパワーは戻ってきたけど風邪が治らない」


「じゃあマスクをするといいよ」

僕はマスクを出す。


「本当は風邪薬が欲しいけど」


「さすがにイメージで風邪薬は出せないな。成分がわからないから」


「そっか、ありがと」

四葉が力を分けてくれれば風邪も治ってたんだけど、体調管理は自分でしろってことか。厳しいなぁ。


「それと、カエデ、ロミア!!」


「は、はい」

カエデとロミアは姿勢を正す。


「お主たち油断をしすぎだ」


「すいません、どうも合体をすると性格が変わってしまうようで」


「お主達が油断をしなければ倒せていたぞ」


「まぁまぁ、責めるのはそれまでにしようよ。エリス様だって殺されかけたんだから」


「う、うむ」


「とりあえず、沙羅の風邪が治るまで待機しますか?」


「いいわ。私は大丈夫だから先に進みましょう」

沙羅はボーッとしている。


「じゃあ、球体君に入ってろ。あそこなら体力回復にうってつけだ」


「そうさせてもらうわ。あとよろしく」

沙羅はさっさと球体君に入って目をつぶる。


「あやつの寝る姿を見るのもはじめてかも知れぬ」


「えっ、寝たことがないってことですか?」


「常に警戒心を解いてないからな。皆が寝てる間もずっと起きていた」


「それに気づいているエリスさんも寝てないの?」

未来は疑問をぶつける。


「まさか、私はぐっすり寝ておるぞ。えっへん」


「威張らないでよ」


「まぁ、そんな沙羅が普通に寝てるんだから心を許してくれてるのかしら」


「まぁ、あとはよっぽど辛いかだね」


「そこは心を許してるからでいいでしょ、徹!!」


「うむ、久しぶりに夫婦漫才が見れたのぅ」


「ば、バカ言わないでよ」


「よいよい、では進むぞ」





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