第2段階の件
第622話
「疾風怒濤!!」
「ちぃ、この女。俺様を追い込んでいるだと」
「このまま!!」
カエデはゴージンの体を切り裂いていく。
「俺様の再生スピードをなめるなよ」
「ちぃ、私のスピードが追い付かない」
ドクン、ドクン
(沙羅ちゃん、いつも守ってくれてありがとう。でも沙羅ちゃんはいつも悲しそうな顔をしているのが悲しいの)
(何を言ってるんだよ。私は悲しくなんかないよ。あんたが笑っていればそれだけで幸せなんだから)
(沙羅ちゃん)
(私はお前を守る為なら何だってするよ。だから私はお前の為なら死んだって構わない)
(死ぬなんて悲しいこと言わないで沙羅ちゃんが死んだら私は悲しいよ)
(死ぬ…死んだらあの子を悲しませる…私は死ねない)
沙羅の目が金色に光っていく。
「さ、沙羅!!」
沙羅はゆっくりと立ち上がる。
「な、なんだ。この力」
カエデは思わずゴージンから離れる。
「な、俺様の体が震えている。これは恐怖か」
「ダイヤ!!離れろ!!」
「お、おうさ」
沙羅の体から強力な気が爆発的に放出されていく。
「沙羅、これって暴走?」
「怖い、怖い!!」
「未来、あんたは逃げな」
ヒデリがリモコンで球体君を動かす。
「こ、これは四葉以上か?」
エリスは呆然と立ち尽くす。
「死ねるかぁぁぁぁぁぁ」
放出された力が沙羅の体内に戻っていく。
「はぁはぁ」
「へ、へぇ。ビックリするじゃねぇか。女」
ゴージンの声が震える。
「見た目はいつもの沙羅と変わらないけど…」
「ああ、だが力がバグっておる」
「私は死なない、死ねない。死んでたまるか」
「それなら俺様が殺してやるよ」
バコン!!
「が、さ、再生を」
ゴージンの腹部に穴が開く。
「さ、再生が…出来ないだと」
「お前の力は奪った。もう終わりよ、圧縮」
沙羅はゴージンに向かって手をかざす。
するとゴージンの体が圧縮されて潰れていく。
「うわーグロいねぇ」
「それよりも暴走してたら我々も殺されるぞ」
「大丈夫ですよ。あの子は暴走しません」
「ほ、本当か。ってうぉぉぉぉぉ」
エリスの横に四葉が立っている。
「お主、この世界に来すぎではあーりませんか?」
「言葉が変ですよ」
「四葉」
「新しい力はどうですか?沙羅」
「新しい力」
「そうです、その力はサイコパワーのそうですね。第2段階と言ったところでしょうか」
「第2段階?」
「はい、以前より力が増したでしょう」
「た、確かに。でも自覚はなかったけど」
「サイコパワーは常に進化します。ただその進化に耐えられず命を落とした者もいます。
私もあなたより若い頃に第2段階に覚醒したせいで死にかけましたよ」
「そんな簡単に言わないでよ」
「でもあなたの生きる力ならそれを乗り越えられると確信してましたよ」
「でも心配で来たんでしょう」
「まぁ、心配というか見届けに来たと言うのが正しいですね」
「この力は意図的に出せるの?」
「意図的というか、あなたの使うサイコパワーの標準がその力になったんです」
「そ、そうなの。体がもつのか心配なんだけど」
「まぁ何とかなるでしょう」
「ほ、本当に」
「ええ、第2段階に進化したので体もそれについていったと言うことです」
「ふーん、よくわからないけど…」
「まぁ、それでも力の使いすぎには今まで通り注意してね」
「わかった」
「今がチャンスだー」
崖の上から小さい魔人が槍を持って襲ってくる。
「何、あんなところから!!」
「しかも強い力を持ってますよ」
「ほっ!!」
四葉は向かってくる魔人の槍を身を翻しながら掴む。
「くっ、なんだこの女」
「よいしょ」
四葉はそのまま槍を振り落とす。
「ちぃ、邪魔するな。女!!ダークビーム」
「あまり干渉はしたくありませんが」
四葉は光線を避けて魔人の首を掴む。
「ぐっ、ぐぇぇ。く、苦しい」
「沙羅、よろしく」
四葉は沙羅にむかって魔人を投げる。
「えっ、ちょっ、ちょっと。もう!!サイコスラッシュ」
「ぐぎゃぁぁぁぁ」
魔人は消滅していく。
「もう、自分で倒せるでしょ」
「あなたの力を試したくて」
(絶対嘘だ)