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これからどうするの件

第611話


「なんだ、そういうことかー」


「そういうことじゃ」


「どういうことでぃ」


「つまり、沙羅さんは魔人のふりをして徹さんに夜這いをかけたと」


「何だか勘違いがあるが魔人のふりをしたのは当たりじゃな」


「徹の悩みを吹っ切らせる為の荒療治ってわけか」

福原がお腹を抑えながら言う。


「そのようじゃが。それが果たして効果があったかが問題じゃな」


「少なくとも未来には少し刺激になったみたいだけどね」


「確かに」



「はっ!!」

僕はがばっと起き上がる。


「やっと目が覚めたわね」


「沙羅、どうしてあんなことを」


「全力を出して少しは頭もスッキリしたんじゃない?」

沙羅はにこりと笑う。

僕は思わずドキリとする。


「あ、ああ確かに少しモヤモヤが晴れた気がするよ」


「根本的な解決にはなってないけどさ。いつまでもうじうじしても解決しないでしょ。前を向かないとさ」


「それを分からせるために?」


「ううん、そこまでは考えてない。何しろ全力出させてスッキリさせようと思っただけ。解決は自分でするものだから」


「そうだよね。沙羅は強いんだね」


「どうかな。私には明確に守りたい人間がいるからあの子の為ならなんだって出来るから。たとえ敵が増えようとあの子がボロボロになろうとしても決してあの子を守ることだけを考えて生きている。自分の命なんてどうでもいいの」


「でも、敵が増えたらその子は悲しむんじゃない」


「そうね。だから私はあの子が望む道を進んでいるつもり。今回この世界に残ったのもそれが理由」


「初めて聞いたよ。でも自分の命も大事にしてよ」


「あの子を助けるために死ねない。結果的に私は生きてる、いやあの子に生かされてる。それで充分かな」


「本当は早く還りたいんじゃないの?」


「そうね。でも中途半端に帰ったらそれこそあの子が望まない行動だからね」


「理解しあってるんだね」


「まぁ双子だから何となくね」


「そっか…」


「未来の記憶が戻らなくても徹は未来が大事なんでしょ」


「そうだね」


「じゃあ、未来がどんなことになろうと守りなさいよ。未来は未来よ」


「ああ、そうだね。僕のことを忘れても未来は未来だ。そして僕は未来を守るってこの世界に来たときから決めていたんだ」


「ふふ、良い顔になったね」


「ありがとう、沙羅。僕は大事なことを忘れてたよ」


「どういたしまして、じゃあ福原の呪いを解かないとね」


「どうやって?」


「あなたの力はあなたが想像したものを具現化できるんでしょ」


「そのようだけど」


「なら福原を助けたいって気持ちをもって呪いを解除してみなさいよ」


「そんなことできるのかな」


「やってみなけりゃ分からないでしょ」


「そうだね。やってみるよ」


「じゃあ、帰ろうか。みんなの所に」


「そうだね」

すると次の瞬間光の矢が沙羅の心臓を貫通する。


「……!!」


「沙羅!!」

沙羅はそのまま地面に倒れ込む。


「だ、誰だ」


「1番やっかいなやつを倒せるとはな」

魔人だ…


「貴様ぁ」

僕は力を解放する。


「徹、ちょっと待った!!」

沙羅が起き上がる。


「えっ!!大丈夫なの?」


「大丈夫よ。変なことしないでよ。エリスさん」


「なんじゃ、バレておったか」


「様子を見に来たの?」


「そうじゃ、逢い引きが気になってのぅ」


「出歯亀は良くないわよ」


「2人とも変なことを言わないでください!!」


「皆を放っておいて良いの?」


「うむ、もう解決したんじゃろ。帰るぞ」


「まぁ、良いけどじゃあ、転移するから掴まって」


「うん」


「はいはい」

僕達は沙羅に掴まる。



「おお、帰ってきたね」


「ごめん、ヒデリ。機械壊しちゃった」


「ああ、いいよ。もう1個あるし。あれどこいったっけか」


「ほれヒデリ。ちょいと拝借させてもらったぞ」


「姐さんかい」


「徹…」

福原が僕に近づく。


「福原、ちょっと僕の力を試させてほしい」


「えっ、戦うのか?」


「違うよ。君の呪いを解いてみせるよ」


「やれるのか…」


「やれるのかじゃなくて、やるんだ」

僕は力強く言い切る。

沙羅はその様子を見てにこりと笑う。


「表情が豊かになってきたのぅ、沙羅」


「なっ!!見ないでよ」

沙羅は慌てて顔を隠す。

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