主人公の座は渡せませんの件
第574話
「うわ、びっくりした」
「メルメルブラスター」
「まだやるのね」
沙羅はジャンプで攻撃を避ける。
「真覇落炎竜」
沙羅の手から炎のドラゴンが現れる。
「メルメルファイナルファイヤー」
僕は攻撃でそれを相殺する。
「すごい、沙羅と互角に戦ってるわよ」
未来が子供の要にはしゃぐ。
しかし、エリス、ダイヤ、カエデ、ロミアは黙って見つめる。
「なんだよ。みんな余裕がねぇなぁ」
「2人の戦いが凄くて言葉が出ないんです。後は目を離せないんです」
「へぇー。そもそもあたいにはスピードに目が追い付けねぇや」
「強いね、徹」
「本気を出してください。沙羅さん!!」
「それなりに力は出しているけど」
「それなりじゃダメなんだ。本気でぇ!!」
僕はさらに力を上げる。
「必殺!!ファイナルトリプルメルメルサンダークラッシュ!!」
「ちょ、沙羅が死んじゃうわよ!!」
「ふぅ、ならば本気で行くわよ」
沙羅は拳を握り力を解放する。
「なっ!!」
「なんと!!」
「す、すごい!!」
沙羅の綺麗な金髪がより光輝く。
そして金色のオーラを纏っている。
直後、徹の攻撃が沙羅に向かっていく。
「サイコバスター」
沙羅の両手から強力な光線が発せられる。
僕の攻撃はあっさりと消滅する。
なんだよ…こっちは全力なのに。
沙羅は僕の前にテレポートして僕を掴んでまたテレポートする。
その後は大きな爆発音が聞こえて僕は再び意識を失った。
「危うく殺すところだった」
「ちょっと沙羅!!やり過ぎよ」
未来は泣きながら迫ってくる。
「ごめん。本気を出さないと私が死んでたから」
「それにしてもすごい穴ができたねー」
「ああ、降りたらどうなるのか気になってきたわい」
「自分の攻撃を徹さんを掴みながら避けるなんてどんなスピードをしているんですか…」
カエデは呆気に取られている。
「沙羅さんなら魔王を倒せるかも知れない」
「私は還る手段が分かったらその時点で帰るけどね」
「あうっ」
「まぁ、無理に引き留める気はないが」
「それに私より強い人いるでしょ」
「私のことか?冗談はよせ。私ではお主に勝てぬ」
「そうかしら。それに徹はまだまだ本気が出せるわよ。もう1人の人が邪魔をしなければ」
「そこまで見抜いているのか」
「まぁね。徹の体が心配なのね。もう1人は」
「そうじゃな。もう少し信用してくれれば徹は本当の力を出せるのじゃが」
「そうだね。まぁ仕方ないよ。姉弟ってそんなもんでしょう」
「ふむ、まぁまさかもう1度徹が起き上がるとは思わんかった」
「私も、ちょっとびっくりしたわ」
「それにしても、沙羅のその力はなんなんだい」
「前にも言ったけどサイコパワー。生まれた時から潜在的に持ってる力。お陰で周りからは恐れられてたけど」
「ふむ。お主の世界では同じような力を持った人間が何人かいると言っていたな」
「朧気だけどね。そのトップというか最初のサイコパワーの持ち主は私なんかとは比べ物にならない力を持っている人」
「まだ上がいるのか」
「うん、それよりも私は妹が心配」
「その、トップが守ってくれるんじゃないか」
「でもあの人忙しいし」
「そうか」
「もし、妹に何かあったらその時はこの世界に来て世界を滅ぼすかも」
ごくりとエリスは喉を鳴らす。
「冗談、そんなことしたら妹に怒られる」
「まったく、冗談になってないわ」
「くそっ!!」
僕はガバッと起き上がる。
「ちょっとまだ無理しちゃだめよ」
「負けた…完全敗北だ」
僕は思わず地面に拳を叩きつける。
「珍しいねー、あんなに感情的になっちゃって」
「よっぽど悔しかったのじゃな。いいことじゃ」
「徹」
沙羅が近づいてくる。
「沙羅さん」
「呼び捨てでいい。徹、あんた強かったよ」
「ボロ負けさせられた相手に言われてもなぁ」
「嘘じゃない。思わず本気を出さなきゃいけないくらいには強かった」
「でも本気を出したら僕よりも圧倒的だったね」
「滅多に本気は出さない、この力の制御は難しいから」
「そうなんだ…」
「そう、だから本気を出させた徹は強いよ。その力で未来を守ってあげてね」
「え、ああ。うん」
「守る人がいるっていいね」
「沙羅…」
「ごめん、なんでもない」
「2人の力は魔王にも届いたかねぇ?ロミア」
「恐らくは」
「その前に残りの12師が気になります。総攻撃を仕掛けられたらさすがに…」
「なるほどねぇ」
「その前に2人が本気でやりあったのは失敗だったか…」
「えっ?」
「どうやら嫌な予感が当たったようだ」
エリスは崖の上を見る。
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