久しぶりに未来と二人で話すことになった件
第57話
ロミアが寝息をたてて寝始めた。
隣からはエリスさんのイビキが聞こえる。
さて、カエデさんと見張りを変わるか。
僕はテントから出た。
カエデさんは団子を食べていた。
「カエデさん、変わりますよ」
「ありがとうございまふ、お腹いっぱいで眠いのでたすかりまふ」
「とりあえず、飲み込んでから寝てください」
「福原、あんたも休みなさい」
未来があとからテントから出てきた。
「俺は大丈夫だぜ?」
「いいから、少しは休みなさい」
「わかった、じゃあ遠慮なく休むよ」
福原はテントに入っていった。
テントの外は僕と未来の二人になった。
何だか気まずいな。
何を話そう。
「なんか、二人っきりって久しぶりな感じね」
「あ、ああそうだね。なかなかね」
「ねえ、徹。私たち無事に帰れるのかな」
「大丈夫だよ、魔王を倒せば解決するんだし」
「でも、万が一、私達がやられたら、特にあんたは前衛で戦ってるからさ」
心配してくれてるのか…何てかえそう。
「大丈夫だよ。メルルンの魔法があるから」
「で、でも心配なのよ、徹がもし死んじゃったら私…」
未来は言いかけて黙ってしまった。
どうしよう、こんなシチュエーションになるとは
「徹のやつなんでここで未来に抱きつかないのだ」
「ほんとですね、接吻をすれば解決なのですよ」
エリスとカエデの二人がテントの隙間から二人の様子を見ている。
「し、死なないよ、僕は未来と一緒に必ず元の世界に戻るから」
「約束だよ」
未来は僕を見つめる。
僕の心臓の鼓動が早くなるのがわかる。
「今だ、チューしろ、チュー」
エリスが思わず前のめりになる。
「エリス様、私にも見せてください、あっ」
カエデがバランスを崩して、テントから二人が飛び出てきた。
僕らは慌てて距離をとった。
「あいたた、邪魔したか?」
エリスがわざとらしく聞く。
「べ、別に何もありませんよ」
「そうか?なんだか顔が赤いが」
「いいから、二人は休んでてください」
そのあと僕たちは黙って気まずい時間を過ごした。




