マッスル目覚めるの件
第554話
「マッスル!!」
ヒデリは福原に抱きつく。
「お、おお。ヒデリちゃん。俺どうしたんだ?記憶がねぇんだ」
「おめぇ、呪いの盾に精神を奪われてたんだよ」
「呪いの盾?あの盾がか!!」
「そうじゃ、お陰で色々と大変じゃったぞ」
「エリスさん。すまねぇ」
「まぁ皆無事だから良いがな」
「もう本当に元のマッスルなんだよな」
「あ、ああまだ頭が痛いけどそれ以外は正常だ」
「目が覚めて良かったよ。福原」
「徹、未来」
「まぁ僕もメルルンに変身してたみたいで記憶ないんだけどね」
「なんだよ」
「でも何となく前とは違うと言うか少し記憶があると言うか」
「はっきりしないわね」
「ねぇねぇ、徹。徹の双子の子は名前は決まってたのかい?」
「ちょっとダイヤさん」
「はい、母さんは弥生って名前をつける予定だったって言ってました」
「お父さんは?」
「父さんは僕が産まれてから単身赴任で電話とかでしか会ったことがないんですよ」
「へぇー。なんだか気まずいことを聞いちゃったねぇ」
「いや、別に大丈夫ですよ」
「おい、ダイヤ何のつもりだ」
「記憶が残ってるか確かめただけだよ。あの姿を覚えてたら色々と面倒でしょ」
「まぁな」
「徹さん、ご飯食べたいですよ」
「ああ今用意するよ」
「なんだか、この光景がなつかしいな」
「マッスル、お前あの呪いの盾に支配されてたこと全く覚えてないのか?」
「ああ、実はちょっと覚えてる。俺…力に飢えてたんだ。それにつけこまれたんだな」
「そうだよ、でもさ焦るなよ。お前にはお前の良さがあるんだし。それで死なれたらさ…」
ヒデリは福原の胸に顔を埋める。
「ああ、すまねぇ。ヒデリちゃん」
福原はヒデリの髪の毛を触る。
「イチャイチャしてる」
カエデがこっそり覗いている。
「おい、出歯亀」
「うわっ!!ロミアちゃん。いつの間に」
「私にも見せろ」
「いいですよ。一緒に覗きましょう」
「……」
「徹!!」
「……」
「徹!!」
「あ、ごめん。何?」
「どうしたの。ぼーっとして」
「いや、僕が気を失っている間の事を思い出そうとしてただけだよ。未来は何か知ってる?」
「えっ、ううん。メルルンしか見なかったわよ」
「そっか、また会えないのか」
「ま、まぁ仕方ないよ。でも大活躍だったよ。やよ…メルルン」
「やよ?」
「大活躍やよ」
「そんな変な語尾だったっけ?」
「まぁまぁ。みんなのところに行きましょう」
「でも、もう少し考えようかな」
「もういいんじゃないかな。あはは」
「なんか変だなぁ」
「さてと、みんな体の調子はどうだ?」
「僕は大丈夫です」
「私も」
「あたいも」
「俺はまだ体が痛いけど大丈夫だ」
「ロミアは?」
「私をなめているのか?」
「いちいちケンカ腰になるな」
「では、次の研究所に向かうとするぞ」
「また強い魔術師がいるかもしれませんね」
「うむ、皆のもの油断はするなよ」
「ヒデリ、次の場所はどこだ?」
ロミアがヒデリが見ているモニターを覗く。
「あ、ああこの川を越えたところにあるぜ」
「ほう」
「なんだ?知っているのか?」
「ああ、ここは私の弟が研究を行っているところだな」
「弟!!ロミア、弟がいたの?」
「うむ、だがやつはもう死んだはずだ。おそらくそこの研究所も誰もいないだろう」
「そうだったのか。でも念のため行くぞ」
「かまわんよ。もしかしたら弟が残した何かがあるかもしれんからな」
「弟か…」
「どうしたの?徹」
「いや、気を失ってる時にメルルンとは違う声が聞こえたのを思い出してね。もしかして僕の妹か姉だったのかなってさ」
(なんでこういう勘はするどいのよ」
「なんてね。そんなことないと思うけど」
僕は笑いながら歩く。
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