サイファーどうするのの件
第538話
「ド派手にやったねー」
ダイヤがにやにやしながらエリスに近づく。
「別にいつも通りじゃ」
「いつも通りの派手さってことねー」
「うるさいのぅ」
「エリス様やはりすごいですね」
村人達が羨望の眼差しでエリスを見る。
「いやぁすげぇな。まだまだ上には上がいるんだなぁ。俺っちなんてまだまだだぜ」
「サイファーさんも十分強かったですよ」
「でも俺っちはあのメカには勝てなかった」
「あのメカはなかなか強かったから仕方ないじゃろう」
「でもあんたは倒せたじゃないか」
「エリス様と比べてもねぇー」
「正直あんたの仲間も全員あのメカ倒せるだろ」
「……」
「やっぱりな」
「私は無理よ」
未来がフォローをする。
「あんたは賢者だからだろ」
「うっ、そ、そうね」
「フォローになってないよー。未来」
「なぁ、俺っちも旅についていかせてくれよ」
「えっ!!」
村人がざわつく。
「俺っちはもっと強くならないといけないんだ。頼むよ」
僕達はエリスさんを見る。
「だめじゃ」
「な、なんでだよ」
「これ以上キャラが濃いのが増えてると読者が困惑するからな」
「…何の話だよ」
「それは冗談としてお主を連れていく気はない。そうだな、せいぜいここの村で腕でも磨くんだな」
「そんな、俺っちは強くなるためにこの村を出たんだ。それなのにここに残れって言うのかよ」
「お前が旅に出た理由はなんだ?」
「えっ」
「この村を守るために修行にでたんじゃないのか?」
「……」
「そうなの?サイファー」
メビーがサイファーに近づく。
「う、うるせぇ」
「サイファーお前」
村人達もサイファーを囲む。
「くっ」
「お前の力ならこの村を守ることは可能だ。さっきのメカはもう襲ってこないだろうし。落ち着いて戦えば倒すことは可能じゃ」
「手も足もでなかったぜ」
「だからここにくる魔物を倒して腕を磨け」
「そんなんじゃ遅いんだよ。連れていってくれよ」
「無理だな、お前では我々の力には及ばん。ここいらが限界だ」
「そんなのわかってる。だから一緒に行って強くなりたいんだよ」
「死ぬぞ」
サイファーは思わず黙る。
「私達は常に死と隣り合わせで戦っている。お前の覚悟では足手まといどころか我々のパーティーを全滅にする恐れだってある」
「ちょっと言い過ぎじゃ」
「あんた達も説得してくれよ」
「私ははんたーい」
「サイファーさん。僕も反対です。貴方が戦う理由は僕達とは違います」
「戦う理由?」
「はい、貴方はこの村を守りたいんですよ。僕達は魔王を倒しに行くんです。貴方は貴方の役割を果たすべきです」
「……」
「サイファー、もう旅に出るのはやめて。貴方が死んじゃったら意味がないのよ」
「メビー」
「サイファー、お前の出禁は今日で終わりだ。もう自分に嘘をつくのはやめるんだ」
「村長…」
「サイファー、お帰り」
「サイファー、元気でよかったぜ」
「みんな…」
「さてと、我々は行くとするか」
エリスさんが僕達に声をかける。
「そうね。もうこの村は安全ね」
「じゃあ、皆さんお元気で」
「エリス様、何から何までありがとうございました」
「いや、私達は何もしておりません。何かあったときには遠慮なくラングレン王国を頼ってください」
「お心遣いありがとうございます」
「サイファーさん。お元気で」
僕はサイファーさんに声をかける。
「ああ、あんた達の無事を祈るぜ」
「ええ、必ず魔王を倒してきます」
「頑張ってれよ。俺は必ずこの村を守るからさ」
「はい、約束ですね」
こうして僕らはモングの村から出発していく。
「エリスさん、最初からわかってたの?サイファーのこと」
「何がじゃ?」
「サイファーが村の為に旅に出てたってことよ」
「知らんよ。さっきも言ったがこれ以上キャラが増えると個性が消えるからな」
「素直じゃないわね」
「はっはっは。エリス様らしいねぇー」
「うるさいのぅ、ほれさっさと行くぞ」
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