旅人発見の件
第534話
「はぁ、少し休憩しませんか?」
僕は歩き疲れて弱音を吐く。
「まぁ確かにずっと歩いてはいるが」
「お腹すきました」
「仕方ない、少し休むか」
「確かに私もお腹が空いたわ」
「じゃあ食事の準備をしますね」
僕は魔法で食事セットを出す。
「徹、私肉食べた~い」
「わかりました、ダイヤさん」
そして僕たちは食事を始める。
「次はどこを目指すんだい?」
「うむ、ドロシーの情報はもうないから手当たり次第じゃな」
「途中で村でもあれば情報も集まるんですけどね」
「そうじゃなぁ。まぁこの辺で無事な村っていうのもなかなかないじゃろう」
「そうでもないっすよ。ここから先のモングの村は無事ですぜ」
「モングの村か。初めて聞いたな。ではそこに行くとするか」
……
「って貴様誰じゃ!!」
いつのまにか僕らと同い年くらいの男性が食事を食べている。
「ああ、すんません。つい良い匂いがしたもんで」
「魔物か?」
「まさか、人間っすよ」
「1人ですか?」
「ええ、俺っち旅をしてるんですや」
「変なしゃべり方じゃのぅ」
しかしこの男なかなか出来るな。
「それでその村はどの辺にあるんですか?」
「おう、俺っちが案内するぜ」
「それよりさー」
ダイヤが口を挟む。
「なんすか、そこの美人さん」
「いや、君の名前は?お互い自己紹介と行こうよ」
「ああ、そうっすね。俺っちはサイファーっす」
その後僕達は順に名前を名乗る。
「へー、ラングレンのエリス様かよ。すげーな」
サイファーはエリスの胸を直視する。
「お前はどこを見ているんだ」
「胸だよ。すげーナイスバディだな」
「何あいつ隠しもしないで」
「まぁ、正直者は嫌いではない。ではサイファー食事が終わったら案内をしてくれ」
「了解っす」
「エリスさん、全然気にしないのね」
「あー、あの人は自分に無頓着だからねぇー。人からどう見られてるか何て気にしないのさー」
「あんなに美貌があるのに何てこと!!」
「未来、何か変だよ?」
「うるさいわね」
「しかし、このパーティーは女子が多いっすねぇ」
サイファーは分かりやすく鼻の下を伸ばす。
言われてみれば男って僕と福原だけだったな。
「誰か、俺っちの彼女にならねぇか?」
「くだらないこと言ってないで案内しなさいよ」
「へいへい、君はもっとおしとやかになったほうがいいぜ」
「な、なによ」
「ちょっと、未来をバカにしないでくれるかな」
僕は気づいたらサイファーさんに噛みついていた。
「ああ、彼氏がいたのか、失礼失礼」
「ありがとう、徹」
「ああ、気にしないで」
「イチャイチャしてますね」
「はい、イチャイチャですね」
「そこの忍者さんは彼氏は」
「興味ないですね」
「なんだよー。つまらないなぁ」
するとサイファーの頭にヒデリのロケットパンチが飛んでくる。
「めんどくせぇ奴だな。案内する気ないならあたいらで探そうぜ」
「あー、わかった、わかった。今案内するぜ」
サイファーが先頭になって歩き始めた。
「しかしお主はなぜその村を知っておるのだ」
「ああ、女の子をナンパしようとして村を探してたらあったんだ」
「不純だがまぁ良いだろう。人数はどのくらいだ?」
「それなりにいたぜ。戦闘もできるやつもちょいちょいな」
「サイファーさんも旅の途中で魔物と戦ってたんですよね」
「ああ、俺っち強いからな。沢山倒してきたぜ」
「へー、軟派な男だと思ったけどやるのね」
「えっ、もしかして俺っちに惚れちゃった?」
「違うわよ。こっちに来ないで」
「えっと、名前忘れちゃった。君」
「サイファーっすよ。ドラゴンの姉さん」
「あんまりふざけてるとうちの女王がぶちギレるから気をつけてね~」
「えっ」
「あの女王はキレたら怖いよ~」
「そ、そうなのか。気を付けないと」
「聞こえてるぞ、ダイヤ」
「聞こえるように言ったんだも~ん」
「ダイヤ…さっきも名前聞いたけど。あ、あんたも10年前の英雄じゃねえっすか」
「あー、そう言われるのは苦手なんだけど一応そうみたいだねー」
「な、なんかすげぇメンバーだな」
「そう?」
「そうっすよ。あ、そろそろ着きますぜ」
サイファーの案内通り村が見えてくる。
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