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ヒデリVSカエデの件

第512話


「いつでもこいよ。この野郎」


「では行きます」

カエデは一気に距離を詰めてヒデリの顔面にパンチを入れる。


「ぐっ。お返しだ」

ヒデリも負けじとカエデの顔面にパンチを入れる。


「ぐっ」

そのままカエデは膝をヒデリの腹部に入れる。


「この」

ヒデリは今度は義手でカエデのアゴを殴る。


「くぅ」

カエデはバランスを崩す。


「まだまだぁ」

そのままパンチのラッシュをカエデに浴びせる。



「まるで男同士のケンカだねぇー」


「ダイヤか」

エリスはダイヤを見上げる。


「うん、騒がしいから様子を見に来たよ。で、あれはなんだい?」


「ん。気づいたらケンカを初めておった」


「ふーん」



「このばかやろう」


「ばかっていうほうがばかなんですよ」

2人は尚も殴り会う。


「はぁはぁ、やるじゃねぇか。忍者のくせに」


「忍者は強いんですよ。からくりと違って」


「なめるなぁ」


「あーあー。2人ともひどい顔だなぁ」


「気のすむまでやらせておけ」


「最初からこれが狙いだったんじゃないの?」


「さぁな」



ヒデリとカエデは立ってるのもやっとなくらいフラフラになっている。


「はぁはぁ、やりますね」


「おめぇこそ」


「いい加減に参ったらどうですか?」


「ふざけんな。ぜってぇ負けねぇ。お前にあたいの気持ちなんかわかってたまるもんか」


「聞いてもいないのにわかるわけないでしょう」


「お前は強いから良いけどよ。あたいはお前みたいに強くねぇんだよ」

ヒデリはまたカエデを殴る。


「私は強くなんてない。風神の力がなければ私なんて落ちこぼれのくノ一なんですよ」

カエデも負けじと殴っていく。


「へっ、ただの自慢じゃねぇか。風神がいてうらやましいぜ」


「ぐっ、あんたにわかってたまるか。神を体に宿してる気持ちなんて」


「……」

ヒデリの動きが止まる。


カエデの動きも止まる。


「ど、どうしましたか…」


「あたい達お互いのことなんも知らなかったんだな」


「…そうですね。ちゃんと話したことなかったですもんね」


「お陰で目が覚めたぜ」


「それはよかったです」


「でもよ。ここまで来たら決着つけるぜ」


「もちろんです。負けません」



「ちょっ、ちょっと2人とも何してるの!?」


「おお、みんな来たのかい」


「なんだか、大騒ぎしている声が聞こえたので」


「ああ、あれな」


「2人ともボロボロじゃねぇか」


「殴りあってるんだよ」


「女の子のケンカってこういうもんなの?」


「いや、違うと思うけど」


「今良いところじゃ。黙ってみてろ」


「良いところって」



「カエデ、あたいはお前が嫌いだ」


「私もうじうじしているヒデリちゃんは嫌いです」


2人のパンチがクロスしてぶつかり合う。


「うわ、クロスカウンターだ」


2人は同時にダウンする。


「相討ちだったねー」


「2人とも大丈夫!!」

未来は急いで駆けつける。


未来は回復魔法を使わないで立ち尽くしている。


「ど、どうしたの!?未来」


「いや、何て言うか。みてよこの顔」


「あっ」

2人とも清々しい顔をして気絶をしている。


「目が覚めるまでこのままにしておこうか」


「ヒデリはパーティーから抜けると言っておる」

エリスさんが近づいてくる。


「えっ!?何でですか?」


「今回のケガで自信をなくしたのじゃろう。でもカエデがその話を聞いててな。急に現れて殴り合いだよ」


「カエデ、意外と過激なのね」


「そういえばロミアが駆けつけて来ないな」


「お嬢様はよく寝てるよ」


「こんな状況で寝てられるのか」


「さてと、私も寝るかな」

エリスさんはテントに入っていく。


「ヒデリさん。帰っちゃうのかな」


「大丈夫だよ。拳で語りあったんだ。ヒデリちゃんはもう大丈夫だろう」


「福原、そんな男の友情じゃないんだから」


「まぁ、起きたらわかるぜ」


「そうかなぁ。とりあえず僕達で2人の見張りをしようか」


「ああ、そうだな」

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