村に向かうはずが森になってた件
第51話
「うーむ、この辺のはずなんだが」
エリスはぼやく。
「あのー、エリスさん。どうにも森に入ってるような気がしますが」
僕は言った。
「いや、確かにここに村があったんだよ、いつからこんな森になってしまったんだ」
迷ってることを認めてないな…
「べ、別に迷ってるわけではないぞ」
「この、木々は最近になってはえてますね」
カエデさんが言った。
「カエデそんなこと、わかるの?」
はい、匂いが新しいです。
「そういうもんなの?」
未来は疑問に思っているようだ。
「ほれみろ、徹。迷ってないんだからな」
エリスさんがどや顔をした。
「僕は迷ったなんて言ってませんよ」
「でも、最近になってはえてこんな森になるってことは…」
「うむ、どうやら強力な魔物の仕業だろうな。みな気を付けろよ」
今度こそ僕の見せ場がありそうだぞ。
「森ごと、焼き払うか」
エリスさんがあっさりと言った。
「えっ」
「エリス様、それはやめたほうがいいです。どうやら魔物以外の動物の匂いもします。」
カエデさんがエリスを止める。
「そうか、動物に罪はないからな、さてどうしたものか」
「とりあえず、魔物を、倒してくしかないですよね。カエデさん、今気配は感じますか?」
「それが、何も感じないんです。徹さん、どら焼ください」
後半は関係ないような…僕はどら焼きをだしてカエデさんに渡した。
「しかたない、森を焼き払えないなら、切り落とすしかないか。徹」
「え、僕がですか?」
「そうだよ、私、か弱い女の子だからこんな大木切れないもん」
か弱いって…
仕方ない、僕は剣を構えて木々を切る作業に入った。
やっぱり地味だ…




