そろそろ目を覚ましましょうの件
第503話
「ふぅ」
カエデがため息をつく。
「元気ないわね、カエデ」
「まぁ無理もないよー。ヒデリともケンカしたし…」
「ロミアちゃんもそろそろ目を覚ましてほしいな…」
「そうね。何時になったら目を覚ますのかしら」
「うん、こればっかりはなぁ。カエデさんが焦る気持ちもわかるよ」
「お、球体君に反応があるぞ」
「えっ!!」
「ロミアちゃんが起きるんですか!?」
「どうだろう。ちょっと見てみる」
エリスとダイヤも近づいてくる。
「…うーん」
「どうですか?」
「一瞬覚醒したみたいだけど、また眠っちゃったな」
「そうですか…」
「でもよかったなカエデ。目を覚ます兆候がでてきたってことだよ」
「そうですね。ヒデリちゃん」
「それもそうだが一応サイエンが死んだか確認をするぞ」
「あの落下と音を聞いたら大丈夫だと思うけどねぇー」
「じゃあ、俺が見てくるぜ」
「うむ、気を付けてな」
福原が走ってサイエンが落ちた所に向かう。
「ぐわぁぁあぁぉぉ」
福原の叫び声が聞こえる。
「な、どうしたんだ!!」
「はっはっはっ。このビリビリ砲の直撃を食らったらひとたまりもないだろう」
「あいつ、生きていたのか」
「どりやぁぁぁぁ」
福原が起き上がる。
「ちょっ!!」
「きゃぁ!!」
「福原!!服が燃えてる」
福原はすっぽんぽんになっている。
「俺の筋肉をなめるんじゃねぇ」
サイエンを掴みそのままパイルドライバーを決める。
ボキン
「どうだ、このサイコやろう」
「いや、お前の格好のほうがサイコです」
「け、怪我はないの」
未来が顔を手で隠しながら聞く。
「おう、大丈夫だ」
「とりあえず服を出すから早く着てくれ」
「おうよ」
「なんだ、生きてたんだねぇ。サイエン」
「ふむ、なかなかしぶとい奴よのぅ。今度はちゃんとトドメを刺したか?」
「ああ、消滅しちまったぜ」
「そうか」
ヒデリがサイエンが持っていたビリビリ砲を解体する。
「へぇー。すげぇな。魔族ってのは発明も進んでるんだなぁ」
「そんなに凄いのか?」
「ああ、なかなか複雑な構造だぜ。まぁあたいのパーツにするけどな」
「なんだか勿体なくない?」
「いいよ、これならいくらでも作れるし」
「さらっと凄いこと言うなぁ」
ビビーーーッ!!
「何の音!!」
「球体君の音だ」
「ロミアちゃん!!」
カエデが球体君に張り付く。
「おい、あぶねぇぞ」
すると球体君から両手が飛び出す。
「ぐっ!!」
ロミアの手がカエデの首を締め付ける。
「カエデ!!」
「ちっ、やはり殺すしかないか」
「ちょっとエリスさん!!」
「ロミアが魔女のままならもう我々と共に行くのは難しい」
「ぐっ、ろ、ロミアちゃ」
「まずいよ、また風神が出て来ちゃうんじゃない?」
「カエデ反撃しろ!!」
「いやです…ロミアちゃん。私…です。カエデ…」
「カエ…デ」
「はい、あなたの友達です」
「とも…だち」
カエデの首からロミアの手が離れる。
「ロミアちゃん」
「か、カエデさん」
「目を覚ましたんですね」
「私、私は」
「いいんです。目を覚ましてくれたのなら」
カエデはロミアを抱き締める。
「よかったわね」
「ああ、よかった」
「よがっだなぁぁぁ」
福原は大泣きしている。
「ロミア!!」
エリスさんが声をかける。
「は、はい」
「あの時の記憶はあるのか?」
「はい、あります」
「そうか」
「……」
「私からはそれだけだ。良く戻ったな」
「はい」
ロミアはにこりと笑う。
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