油断禁物の件
第496話
「えっ、やば。殺しちゃっ」
「油断をするなと言っただろ」
強力なかかと落としがダイヤモンドドラゴンの頭に直撃する。
「ぐはっ」
ダイヤモンドドラゴンは気絶する。
「姐さん、てっきり死んだかと」
「あれはマントじゃ。身代わりの術だ」
「カエデの忍術じゃない」
「昔ハヤテに無理やり教わったからな」
「なんとなくハヤテさんの苦労が想像できるわ」
「なんじゃと、失礼な。それより今度は私が修行相手になってやる」
「ええー」
「まさか、ダイヤで終わりだと思ったのか?」
「だって姐さん。まだ回復してねーだろ」
「お前達の相手くらいならできるまでには回復した」
「なめないでよね」
「おお、良いぞ未来」
エリスは構える。
「ファイヤーアタック」
「甘い!!」
エリスは攻撃をかわして未来の腹部に肘を入れる。
「ぐふぅ」
未来は倒れ込む。
「阿呆、賢者が率先して前に出るな!!」
「アームドナックル」
「鳳凰烈風脚」
ヒデリのメカアームが破壊される。
「げっ!!」
「マシンガンナックル」
「もっと本気をだせ!!」
エリスは福原の連続パンチを簡単に受け流す。
「な、こんな近くなのに当たらねぇ」
「合気道みたいなものだ。相手の攻撃を受け流す事等容易い」
「ミサイルストーム」
「鳳凰土龍脚」
エリスは地面を掘り起こすように蹴りあげる。
すると岩石が宙に舞いミサイルを撃ち落とす。
「魔法も使ってないのに反則だぜ!!」
「はぁはぁ、お主達は自分の役割を見つけて戦え」
「役割!?」
「そうだ、マッスルは猪突猛進過ぎる。けれど魔物を倒す一撃をちゃんと持っている。そこをしっかりと見極めろ」
「は、はい」
「ヒデリの攻撃は牽制に向いている。後は大量の魔物相手にな。それとアブゼロを上手く使え」
「はい!!」
「未来、お前は攻撃魔法を使えるようになったが、あくまでも賢者ということを忘れるな!!お前は全体の攻撃、防御を上げることを優先しろ」
「は、はい」
未来は苦しそうに立ち上がる。
「それを踏まえてもう一度かかってこい。それとダイヤ貴様もかかってこい」
「はいはい、今度は油断はしないよ」
「お前、死ぬことを恐れるなよ」
「うっ…」
「10年前の戦いを思い出せ。あの時はいつ死んでもおかしくなかった。それだけの覚悟があっただろう」
「う、うん」
「はぁはぁ。皆のものよくやったな」
4人はエリスの周辺で倒れている。
す、すごい。本当に魔法なしで4人とも倒した…
「透、すまんが皆に回復魔法をかけてやれ」
「僕はあまり強い回復魔法は持ってませんよ」
「それならまず未来を回復して、未来に回復させるか」
「エリスさんは?」
「私は最後でいい」
「エリスさん、本当に魔法が使えないんですよね」
「ああ、なんだ?疑ってるのか」
「はい、疑いたくなるくらい強かったので」
「私だって必死だったからな。このくらいのことはやって見せないとな。まぁ流石にお前とカエデが加わったら負けるけどな」
「そうですかね。僕も負けそうな気がしますよ」
「はぁはぁ、まぁ力が戻ったらまた手合わせしてやる」
大丈夫かな。苦しそうだけど…
「う、痛たた」
「未来。大丈夫?」
「え、ええ何とか」
「早速で悪いんだけどみんなに回復魔法は使える?」
「うん、何とか行けそう」
未来は全体に回復魔法をかける。
「やはりお前は賢者だな」
エリスが感心する。
「あたた、メカがボロボロだぜ」
「俺の筋肉が悲鳴をあげてる」
「私もまだまだだなぁ」
「ダイヤは覚悟の問題だ」
「うう、攻撃よりも痛いねぇ」
「まぁ、皆少しは強くなったな…」
エリスさんがそのまま地面に倒れ込む。
「エリス様!!」
「はぁはぁ」
「やっぱり無理のしすぎだ。未来回復魔法を」
「さっきかけたのに効かなかったの!!」
「ど、どうすれば」
「仕方がない」
ダイヤがごそごそと錠剤を取り出す。
「何ですか?それ」
「皇女に貰った魔法の薬」
「そんなものいつの間に」
「効果はどんなものか知らないけど。後で飲ませておけって言われてたんだ」
ダイヤさんは無理やりエリスさんの口に薬をねじ込む。
「いや、もっと優しく」
「仕方ないじゃん。ほらほら飲め飲め」
仕返しなのか…
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