偽物?の件
第488話
「何だか変じゃないですか?徹さん」
カエデが耳元で話しかけてくる。
「ちょっくすぐったい」
「何が変なんだ?カエデ」
「いや、エリスさんがあんな戦い方しますかね」
「するんじゃねぇか。姐さんなら」
「まぁ、するかもしれないね」
僕は耳を押さえる。
「ふーむ、何か違う気がするんですよねぇ。ロミアちゃんはどうですか?」
「はい、あれは偽物ですね」
「えっ!!」
「試して見ましょう。ダークネスバスター」
ロミアは躊躇なくエリスさんに向けて攻撃を放つ。
エリスさんはひらりとかわす。
「なんだ?ロミア裏切りか?」
「あの身のこなしはやっぱりエリスさんじゃないのか?」
「そうですね。でも何か変です」
「なんだ、お前達私に戦いを挑む気か」
「おいおい、姐さんマジだぜ」
「やっぱり変だよ。戦おう」
僕は力を上げる。
「よっしゃ、ミサイルランチャー」
「メルメルバスター」
「風神烈風」
「ダークネスバスター」
「ダンベルスイング」
エリスは波状攻撃を簡単にかわしていく。
「ドラゴンバスター」
強力な魔法が僕らを襲う。
「ハイパーメルメルシールド」
何とか攻撃を抑える。
やっぱりこの力はエリスさんとは違う。
「ねー、エリス様。向こうから強力な力を感じるよ」
「なんじゃ、私は今ぐーたら中だぞ」
「いい加減にしなさい。ダイヤさん行きましょう」
未来は無理やりエリスをひっぱる。
「やめろ、貧乳」
「くそ、攻撃が当たらない」
「風神疾風脚」
カエデの蹴りがエリスに当たる。
エリスはそのまま足を掴んで投げ飛ばす。
「何なんでしょう。エリスさんのようでエリスさんじゃないです」
「ああ、魔法もいつもと違うし」
「どうした?もう終わりか」
「おーい。みんな何やってるのー」
「ダイヤさん!!」
「おっ!?あれ? エリス様?」
「ダイヤか貴様も私と戦うか?」
「は?」
「なんじゃ、どうした?」
エリスさんが未来の背中から顔を出す。
「エリスさん!!」
「なんだよ、そんなにびっくりするなよ」
「見てよ、あれエリスさんじゃない」
「何を言っておるのだ貧乳って私じゃないか」
「ちっ、エリスか」
「エリス様は双子だったんだねぇー」
「いや、違うだろ。偽物じゃ」
「どうかな、ドラゴンバスター」
「おっと、ダイヤモンドシールド」
ダイヤは攻撃を弾く。
「っとすごい力だ。まるでエリス様だ」
「どう言うことだ。偽物ごときが私と同等だと。なめられたものじゃな」
エリスが力を上げる。
(ちっ、やはり力が上がらん。もしかして)
「エリス様、ここは私に任せてよ」
「いかん、ダイヤ。あれはもしかして私かも知れん」
「何を言ってるんだい?」
「メルルンに私は戦闘中に謎の魔法をくらった」
「ほう」
「恐らくあれは私のドラゴンパワーを持っているいわば現影だと思う」
「そんなことある!?」
「現に今の私はドラゴンの力が使えない。メルルンめなぜこんなことをしたんだ」
「じゃあ、目の前にいるのもエリスさんってことですね」
「じゃあ殺せないな」
「ああ、やつは私だ。私がやつを吸収すれば元に戻るだろう」
「そうだ。エリス。今の私は幻術に過ぎないがお前を吸収して私が本体になる」
「でも何でメルルンが」
「知らん。私の何かを分裂させたかったのかも知れんな」
「何かって?」
「さぁな。とにかく奴を捕まえるぞ」
「オッケー」
「ちょっと待った!!」
ドラゴンエリスが静止する。
「なんじゃ、油断させる気か」
「いや、やっぱりめんどくさいから元に戻るよ」
「はぁ?」
ドラゴンエリスはエネルギー体になってエリスの体に戻っていく。
「お、おおお」
「大丈夫?乗っ取られるんじゃない!?」
エリスを包む光が消える。
「エリス様!!」
「ふぅ、大丈夫だ。元に戻っておる」
「とんだ災難でしたね。メルルン何をしたかったんだろう」
「まぁよい。元に戻ったしな」
「幻術も怠け者でよかったねぇ」
「うるさい!!」
エリスのげんこつがダイヤにヒットする。
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