少し休みますの件
第482話
「メルメルヒーリング」
ダイヤの体は綺麗に治っていく。
「おおー、メルルンありがとう」
「いえいえ、生きている人なら何でも治すよ」
「あ、そうなんだね。ありがとー」
(ドラゴン型に潰されてから記憶が無いんだよね。やっぱり逝ってたのかなぁ)
「しかし、お主ともあろう者が油断とはな」
「うん。今回は失敗だねぇ。でもエリス様が私のピンチにぶちギレしてくれて嬉しかったなぁ。ああやっぱり両思いだったんだねー」
「もう一度死ぬか?」
「勘弁して」
「さて、メルルンいつまでここにいるんだ」
「あれれ、そんな事言わないでよぉ。もうちょっとここにいようかな」
「えっ、徹は?」
「私の中で休んでるから安心して」
「あいつが知ったら喜びそうだな」
「ああ、しかしいよいよ主人公の座が」
「言わないであげて」
「め、メルメルファイヤー」
「うんうん、いい感じだよ。未来ちゃん」
「ほ、本当に」
未来はメルルンに魔法を教わっている。
「よっこいしょ」
エリスはダイヤの横に座る。
「おばさんみたいだよー」
「うるさいのぅ。それより大丈夫か?」
「うーん、実はさ。多分死んだみたい」
「だろうな。メルルンがいなかったら本当に終わっていたな」
「そうみたいだね。私は記憶が無いから何とも言えないけど」
「でもすごいね。復活の魔法なんてお姫様しか使えないのに」
「そうじゃな。それに姫の復活魔法は姫自身の体に負担もかかる。それに比べてメルルンは恐ろしいのぅ」
「あれは徹の関係者なの?」
「まぁ、そういうことになるな」
「へぇー」
「それで次の目的地には行かないの?」
「ああ、少し休憩だ。メルルンもいることだしちょうど未来の力をつけるいいチャンスだしな」
「なるほどねぇー。まぁ未来は徹がいなくて寂しそうだけどね」
「仕方あるまい」
「よし、未来休憩しよう」
「は、はい」
「かしこまらなくていいよ。多分同い年くらいだから」
「え?メルルンって12歳とかじゃなかったっけ?」
「あっ、え。あそうだ。そうだ。年下でしたー」
「は、はぁ」
「年下なので、かしこまらないでくださいね」
「わ、わかったわ」
「ロミアちゃんどうしました?」
「あのメルルンって人」
「メルルンがどうしました」
「強いです。あの力なら魔王を倒せるかもしれません」
「そうなんですね。でも」
「でも?」
「お父さんを倒すことに抵抗はないんですか?」
「えっ…」
「だってロミアちゃんは共存の道を探して飛び出したのでしょう? 別に魔王を倒すためではないんですよね?」
「え、あ…」
「ごめんなさいです。ちょっと意地悪な質問でしたね。忘れてください」
「いえ、カエデさんの言う通りです。でも今は魔王を倒すしかないと考えています」
「そうですか…でももし話せるチャンスがあれば試して見てください」
「そうですね。もしそんな時がきたらその時は」
(その時は私がお父様を殺します)
「……」
カエデは何かを察したのか黙る。
「おーい、カエデとロミア。パーツ集めに付き合ってくれよ」
ヒデリが遠くから声をかける。
「あ、わかりました。行きましょう。ロミアちゃん」
「はい」
「メルルン休憩は終わり。私にもっと力を」
「えっ、やる気がすごいね。わかった。じゃあ次の魔法を教えるね」
「よろしくお願いします!!」
「やる気があっていいねぇ」
「お主は指導しなくていいのか?」
「いいでしょ、メルルンの方が強いし」
「拗ねてるのか?」
「いやいや、命の恩人にそんなことしないって。それよりあそこでポツンと立ってる子をどうにかしないとね」
「マッスルか…」
「徹…」
福原は寂しそうに徹の名前を呼ぶ。
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