次の村で魔族の女の子とであった件(後編)
第45話
「おまえ、今なんて言った」
「あ、あのですから、私はあなたたちの敵である、魔王の娘です」
女の子はビクビクと答えた。
「なんで、君がこんなところにいるの?」
僕は優しく話しかけた。
「はい、信じてもらえるかはわかりませんが、私は父のやり方が嫌でひとりで逃げ出したんです。」
「信じられんな、徹。こんな戯れ言に付き合うな」
エリスさんは冷たい声で言う
「エリスさん、もしかしたら、人質として利用できるかもですよ」
未来がエリスさんに耳打ちした。
「ふむ、確かにな」
腑に落ちない感じでエリスさんはうなずいた。
「あの、それで私は一人で飛び出して、何日も何日も歩いて、ここの廃墟に来ました。そしたら父が追手を差し向けていて、私はここに隠れていたんです。」
追っ手…僕たちが倒したやつらか。
「そうだったんだ、君はどうしたいんだい?」
「私は、昔のように魔族と人間が共存する世界になってほしいんです。」
「みなさん、どうか父を説得してください」
「やはり、戯れ言だな。ここまで来たら仲よしこよしなんて出来ないぞ」
「わかってます、でも…それなら私を、私をあなた達の旅に同行させてください」
さっきまでビクビクしてた女の子とは思えない力強い声だった。
僕はエリスさんをみた。
「…勝手にしろ、ただしその角は隠しておけ」
「ちょうどいいところに、ローブがありますよ」
カエデさんがまんじゅうを食べながらローブを持ってきた。
「えっと…君の名前は?」
「わ、私はロミアです。」
「よし、ロミアちゃん、一緒に行こう」
僕は手を差し出した。
ロミアはそれを力強くつかんだ。
こうして僕らのパーティに魔王の娘が加わることになった。




