魔物をさがしますの件
第395話
「気配も匂いもないですねぇ」
「もうこの辺にはいないんじゃない?」
「それならそれでよいのじゃが」
「じゃあ暫くあの村は平気ですね」
「そうだねぇー」
僕達は村の周辺を歩き回るが特に魔物とエンカウントすることはなかった。
「もう大丈夫そうですね」
「そうだな、では次の目的地に行くとするか」
「場所は決めてるの?」
「ああ、あそこに山があるだろ。あそこに行ってみようかと」
「山か…」
「体力つけるにはちょうどいいじゃねぇか、徹」
「ああそうだね」
「棒読みよ、徹!!」
「山登りは苦手なんだよなぁ」
「まぁまぁ頑張れよ。徹」
ヒデリさんが僕の背中をバンバンと叩く。
「よし、では行くぞ」
「それにしても全然怠けなくなったわね」
「なんじゃ?」
「だって球体君も使わないし」
「ああ、あれはちびになったせいで体力消耗が酷くて休まないとろくに動けなかったのじゃ」
「そうだったんだ、ただの怠け者かと思ってたわ」
「失礼な貧乳だのぅ」
「貧乳は関係ないでしょ」
「元々エリス様はバカみたいな体力だからね。10年前なんかみんな付いていくのに必死だったよ」
「バカって言うな」
「アラサーなんだから無理しない方がいいんじゃない」
「うるさいのぅ、ちびになってたおかげで体力があまり余っておるのじゃ」
「やっぱりバカ体力だねー」
「殴るぞ」
「頭固くします」
ぜぇぜぇ
「おい、もう息切れしてるやつがいるぞ」
「みなさん、ペースが早いんですよ」
「まだ登ったばかりではないか」
「ヒデリさん、球体君を貸してくれないか」
「ああ、あれならもう新しいパーツに使っちゃったぜ」
「そ、そんなぁ」
「頑張りなさい、徹」
「はい」
「そういえば、魔物の匂いはするの?」
「頂上の方からしますね」
「ちょちょちょちょうじょう」
「徹、落ち着け」
「頂上までどのくらいあるんですか!!」
「まだまだ先だぞ。だらしねぇぞ。徹」
「そ、そんな」
「ちょっと待ってください」
「どうした、ロミア」
「魔獣の気配がします」
「なんだと」
「こんな時に」
「こんな時なのはあんただけよ」
「あれは魔獣カマキリザウルスです」
「きもっ!!」
「魔獣ってまともな見た目のやついないの?」
「基本は変わった形をしてます。それよりカマキリザウルスの鎌は鋭いです。切られたら一貫の終わりです」
「皆のもの気を抜くなよ」
「了解です。メガフレア」
「キシャァァァァ」
「やっぱり虫には火が効くねぇ」
「ダイヤ突っ立ってないで動け」
「はいはい」
するとカマキリザウルスがダイヤの目の前に立つ。
「あ!やば」
「ダイヤさん!!」
ガチン!!
カマキリザウルスの鎌が吹っ飛ぶ。
「私のダイヤモンドが切れると思ったのかい?」
「キシャャャャア」
もう片方の鎌を振りかざす。
「ふう、力の差を感じないのかねぇ」
ダイヤはカマキリザウルスのお腹に手を当てる。
「ダイヤモンドブラスター」
カマキリザウルスはあっさりと倒される。
「魔獣じゃなかったんじゃない?」
「そうですか…たしかカマキリザウルスは魔獣のはずでしたが…」
「まぁ、倒せたからいいんじゃない。次いってみよう」
はぁはぁ
僕は息をきらしながらみんなについて行った。
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