魔獣メダーマの件
第384話
「あれは魔獣メダーマです」
「なんじゃそりゃ」
「今は目を閉じてますが、目を開けるとものすごい強力な魔法を使ってきます」
「では目を開ける前にずらかろう」
「いやいや、倒さないと」
「弱点はあるの、ロミアちゃん」
「はい、あるにはあるのですが。目なんです」
「開けないと倒せない。だが開けると強力な魔法か。厄介だな」
「ダイヤ、未来。相手が目を開いたらすぐに防御シールドを張れ。あとロミアも張れるか?」
「はい、可能です。しかし防ぎきれるか…」
「勝負は一瞬だ。私に任せろ」
エリスは一気に力をあげる。
「行くぞ。100倍ドラゴンモード」
ゴオッと周辺の空気が変わる。
「うひゃあすごい!!」
メダーマがそれに気づいて目を開ける
「防御シールド全開」
3人の防御魔法が一気に展開される。
メダーマは強力なレーザーを目玉から出す。
「な、予想以上だ。これでは切り込めぬ」
「ちょ、ちょっとこっちも結構ヤバイわよ」
「しかたない、封神剣奥義。雷光彷徨斬」
エリスが技を放つ瞬間にメダーマはレーザーをエリスにむかって放つ。
「くっ、反射神経が早い」
エリスは素早く剣でレーザーを防ぐ。
「油断したな」
僕はメダーマの斜め前に滑り込む。
「メルメルメルメル催涙スプレー」
プシューとメダーマに吹き掛ける。
「ぴぎゃぁぁぁぁぁ」
メダーマのレーザーが途切れる。
「どこから泣いてるんだ」
「催涙スプレーって…」
「まさか効くとは…」
「のんびりするな。雷光彷徨斬」
エリスはメダーマを両断する。
「す、すごい。あのメダーマをこんな簡単に倒すなんて」
ロミアは驚きを隠せず思わず声にでる。
「そんなに大変なんですか」
「はい、あれのレーザーと私のブラックホールで1時間耐久したことがあります。それをこんな一瞬で」
「徹それはなんだい?」
「催涙スプレーといって防犯対策によく使うんですよ。トウガラシとか入ってて目にかけられるとものすごく痛いんです」
「目の塊だもんな。あいつは」
エリスは手から炎を出して完全にメダーマを消滅させる。
(徹さんも流石ですが、エリス・クロード。元に戻ってからの力が桁違いだ…)
「いやぁ、すごかったですねぇ。徹さん。ご飯もらえますか?」
「ああ、わかったよ。未来!!」
「な、なに?」
「この催涙スプレー渡しとくよ」
「魔物達がいる世界で催涙スプレーね…」
「現に効いたわけだしさ。一応持っててよ」
「そ、そう?」
「うん、なんかあった時に心配だからさ」
「と、徹」
「のろけてないでさっさと飯を出せ」
「カエデさん、口調が」
ロミアがあたふたしている。
「わ、わ、カエデさん。今すぐ出しますから許して」
「まったく、緊張感がないのぅ」
「まぁまぁいいじゃないか。それよりエリス様の方が元に戻ってから肩に力入りすぎじゃない?オチビになったときは怠け者だったのに」
「ああ、どうもこの格好になると自分の立場を気にしてしまってな。本当は城でビールでも飲んでたいんだが」
「そこまで怠惰にならないでよ」
「働きたくない…」
「騎士団長がんばって!!」
「さて、運良く我々は魔獣を2匹撃破できた。どうやらこの巣も崩れたしもう問題はないだろう」
「次はこの先にあるペンタゴナンの城かな」
「何か似たような城の名前のところに行ったような」
「気のせいだろう。この世界には似たような名前の城が沢山あるからな」
「城ってことは王国なの」
「そうじゃ。でもまともに機能している王国はなかなかない」
「ラングレン王国はよくやってるよねぇ」
「まぁ、王の魔法があってこそだな」
「他の国の王は魔法は?」
「前によった城でもどちらかと言えば周りの人間の方が優れていただろう」
「確かに」
「色々と難しいんだよ。王国を維持するのは」
「どこの世界に行ってもそういうのは難しいのねぇ」
「そうだなぁ」
「一休みしたら城に向かうぞ」
「了解です」
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