湖を越えたらの件
第382話
「さて、魔物の巣が確かこの先にあったはずだ」
「過去に倒したんでしょう」
「うむ、だが復活してまたそこにいる可能性があるからな」
「なるほどねぇー。フレイルはまた戻ったの」
「ああ、私の中にいるぞ」
「まったく、おじいちゃんは体力ないねぇー」
「魔物の巣は近いんですか」
「ああ、そろそろ見えてくるころだな」
「あ、ありましたよ。いかにもな洞窟が」
「よし、早速行こうかー」
「しかし、洞窟だと派手な技が使えないのぅ」
「まぁ何とかなるでしょ。みんないくよー」
「了解です」
「カエデさん、魔物の匂いは」
「しますね。ぷんぷんします」
「よし、あまり派手に戦いすぎるなよ」
「了解です」
しかしいくら洞窟を進んでも魔物は現れない。
「おかしいですね。匂いはするんですけど」
「ふむ、待ち伏せか?」
「とりあえず奥まで進もう」
「おい、みんなここに変なスイッチがあるぞ」
「なんだと。ポチっとな」
「ちょっとエリスさん」
すると入口の方から岩石が転がってくる。
「うぉぉぉぉ」
「何やってるんですか、エリスさん」
「いや、つい押したくなって」
「マッスルブロック!!」
福原が岩石を受け止める。
「お!ここにもスイッチがあるぞ」
「ちょっと押さないでよ」
「マッスルクラッシュ」
福原は岩石を砕く。
「ふぅ、危なかったぜ」
ポチッ
「ああ、また癖で押してしまった」
「エリスさん!!」
すると僕らの地面がパカッと開いた。
「ぬぉぉぉ、落とし穴とはー」
「きゃぁぁぁぁぁ」
「メルメルメルメルスライムバスター」
僕は地面に向けてスライムを発射する。
ぼよよんと僕達は落下の衝撃を抑えられる。
「ナイスだ、徹」
「それよりむやみにスイッチを押さないでくださいよ」
「す、すまぬ」
「どうする、ここじゃ狭くてドラゴンになれないよ」
「見てください、この先に道がありますよ」
「とりあえず、進んで見るか」
「おい、よく見るとスライムの下に魔物が潰れてるぞ」
「やっぱり待ち構えてたのか」
「まさか、スライムが降ってくるとは思ってなかったでしょうね」
「ま、まぁ結果オーライだね」
「じゃあ私が先頭で行きますね」
カエデがスタスタと歩き始める。
「確かにお主の技なら狭くてもよいな」
「そうなんですけど、魔物の匂いが途切れたんですよねぇ」
「じゃあ、さっきので全部だったのかな」
「なんともあっけないのぅ」
「じゃあ上を目指せばいいんだねー」
「落ちたところを登るしかないか」
ゴゴゴゴゴゴゴとつじょ地響きが起きる。
「わっ!!強力な魔力が」
「気を付けろ、降りてくるぞ」
「この力は魔物ではないですね」
「魔獣か、この戦いにくいところで相手となると少々厄介だな」
「仕方ないよ」
「とりあえず、降りてきたと同時にまずは攻撃を食らわせましょう」
「そうだな。徹準備しろ」
僕とエリスさんは炎の玉を手の前に形成する。
「来るぞ!!」
「メガフレ」
ぼよよ~ん
1度降りてきた魔獣がスライムに弾き飛ばされて消えていった。
「……」
どごぉぉぉぉん
「あ、頭でもぶつけたんですかね」
「その程度ではくたばらんだろう。もう1度
構えるぞ」
「はい」
しかし魔獣はいくら経っても降りてこなかった。
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