真剣な2人の件
第377話
「ふむふむ、なかなか面白いではないか」
「でしょう。でもアレクにはまだ早いんだよね。一冊渡したけど大丈夫かなぁ」
「大丈夫じゃろ、あいつもなかなかやるようになった」
「そうかなぁー」
「あのー、2人とも何をしてるんですか?」
「やぁ徹」
「見たらわかるじゃろ、読書じゃ」
「メルルンではないですね」
「うん!これは魔法の書だよ。あっ、徹にはまだ早いかな」
「そんなに難しいんですか?」
「徹はメルルンを読んだ方が力が上がるから余計な物は読まん方がいい」
「なるほど、確かにそうかもねぇー。メルルンは読みきったのかい?」
「読みきりましたね。あとはスピンオフがいくつか」
「じゃあそれを読むといいよ」
「わかりました」
「3人とも何やってんだ」
「福原、読書だよ」
「へぇ、俺は筋トレでもするかな」
「重たいダンベル出そうか?」
「本当か、助かるぜ」
僕は魔法で重たいダンベルを出す。
「よし、これで頑張るぞ」
「ふむふむ、この魔法は面白そうじゃのう」
「ギガブラスト」
エリスは詠唱の後に魔法を出す。
すると一直線に強力な光線が放たれる。
「ちょっ、ちょっとエリス様。簡単に試さないでよ」
「よいではないか。この魔法はピンポイント攻撃に良さそうじゃ」
「これ以上強くならないでよぉ」
「僕も試そう。メルメルパニッシャー」
僕の手から雷が波を打つように四方八方に飛び出す。
「おお、すごいねぇー」
「私も試したいけど大魔法になるから止めよう」
「何を試そうとしてるんじゃ」
「エリス様だって試したくせに」
「この本に載ってるなかでは弱い方の魔法を試しただけじゃ」
「まぁ確かにそうだけどねぇ」
「いいじゃないか、こいつのお陰で力が増えれば」
「まぁね」
「徹、このダンベルいいな。お前も使うか」
「いや、僕には持てないよ」
「試しに持ってみろよ」
「いや、絶対にむりだから。それ30キロだから」
「そっか残念だな」
福原はフンフンとダンベルを使ってトレーニングを続ける。
「ロミア、もうドリンクはないぜ」
「えー、残念です」
「傷はもういいの?」
「はい、すっかりよくなりました」
「ねぇ、そろそろ行きましょうよ」
未来がエリスに言う。
「ちょっと待ってくれ、ちょうど今いいところなんだ」
「まったく、こないだと一緒じゃない」
「まぁまぁ、これで強くなるならいいじゃないか」
「ダイヤさん、私が読める本はないんですか?」
「うーん、これなら読めるかな」
ダイヤが魔法の書を手渡す。
「よし、私も読もう」
「結局こうなるんだな」
「お腹すきました~」
「はい、肉まんですよ」
「ありがとうございます」
(主よ。我々の目的を忘れてないですか)
「大丈夫じゃ、フレイル。今いいところだから邪魔するな」
(……)
「ふぅ、私は読み終わったよー」
「私ももういいや」
ぽいと本をエリスが投げる。
「ちょっと大事にしてよー」
「僕も大丈夫です」
「私はいつでもいいわよ」
「私も怪我が治りましたので皆様ありがとうございました」
「あれはヒデリのおかげだよ」
「偶然だよ。ダイヤの姉さん」
「偶然でもすごいよ。ヒデリ」
「では、そろそろ先に進むとするか」
「じゃあ、出発ー」
こうしてまた僕達は旅に出ることになった
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