何とか解決の件
第330話
風神がエリスに手をかざす。
「くっ」
「安心しろ」
風神はエリスに力を与える。
「おお、体力が戻る」
「すまなかったな、少し暴れすぎた」
「あれで少しですか…」
「ああ、じゃあ私はカエデと変わるから」
ばたりと風神は倒れる。
「カエデさん!!」
ロミアが慌てて駆け寄る。
「んあ?あれ。私」
「よかった、よかった」
「ロミアちゃん。どうしたんですか?」
「覚えてないなら別に良いだろう」
「何だかみなさん、お疲れですね」
「ああ、すごく疲れたよ」
僕とヒデリさんもカエデさんの所につく。
「よくわかりませんが、徹さん。大福を」
「エネルギー切れで大福は今は出せないな」
「えええーーー」
「ダイヤさん、すごい力が…」
「ああ、あれは神の力だねぇー」
「か、神!!」
未来はびっくりして変な声になる。
「君たちの仲間に神と契約しているのは誰だっけ?」
「カエデが風神と契約してます。契約というか。カエデの力を抑えるために」
「なるほど、じゃあ今回は風神が表に出てきたんだね。一緒にいなくてよかったぁー」
「そんな呑気なこと」
「だって神の力はすごいんだよ。近くにいるだけで巻き込まれる可能性だってあるんだから」
「え、じゃあ徹たちも」
「ああ、大丈夫。彼らの力は感じるよ。それに風神も元にもどったみたいだし」
「そうなんですね」
「うん、それより修行の続きだよ。未来」
「は、はい」
「あー、疲れたのぅ」
「ほんとですね」
「次の村で休ませてもらおうかのぅ」
「でも次の村に行く体力もないです」
「そうじゃな、少しここで休むか」
「ロミアちゃん、いったい何があったんですか?」
「カエデさんの中の風神が目覚めて魔界四天王のメキーボを瞬殺しました」
「えっ!そうだったんですか」
「はい、風神が放った攻撃が私たちの方まできて、防ぐのに力をすごく使ったのでみんなぐったりしてるのです」
「あ、それは申し訳ないです」
「あたいもああいう時に役にたてればなぁ、メカじゃどうにもなんねぇや」
「元気だしてください、ヒデリちゃん」
「ああ…」
「これは私の責任ですね。次の村を探してきます」
「こら、勝手に行くな。お前も休め。風神がお前の体を使ってるから相当消耗しているはずだ」
「あまり感じませんが」
「そういうもんなのか、神の力はわからんな」
「とりあえず、私は寝るぞー」
「僕も寝ますー」
「じゃあ私も寝ますか。お腹空いたなぁ」
「あたいはちょっと新しい武器を作るわ」
「エリスさん、風神がいれば魔王を倒せるんじゃないんですか?こんなこと言うのもなんですが」
「いや、それは無理だ。本来神は我々の世界には干渉しない」
「そうなんですか、でも…」
「カエデに関しては制御しないと神の世界にも影響を及ぼしかねないからだろう」
「そ、そんなに」
「ああ、でも今回は異例だ。全面に出て神が戦う姿は初めてみた。今後はないと思うが」
「そうなんですね、カエデさん、そんなにすごいのか」
「まぁ神が内部で力を抑えるくらいだしな」
「そうは見えないけど…」
「うむ、でも今回の件で魔族達が警戒を強めたのは確かだろう。我々も更なるレベルアップをしないとな」
(いいかげん、この体ではどうにもならなくなってきたな)
「そうですね、がんばります」
「おーい、みんなー。元気だったかーい」
ダイヤさんだ。
「ダイヤもっと早く戻ってこんかい」
「だって風神が覚醒したんでしょ、巻き込まれたくないもん」
「貴様、わかってこなかったのか」
「いやいや、結局私が来てもどうにもならないからねぇー」
「少なくとも風神の攻撃を防ぐことはできた。お陰で私が風神に攻撃をするはめになったんだぞ」
「えー、神に攻撃したの。やば」
「致し方なしじゃ、まぁ簡単に防がれたがな」
「神ってそんなにすごいのね」
「あ、未来。おかえり」
「うん、ただいま」
「じゃあ、未来。この脱力メンバーに早速力を与えてあげなよ」
「わかりました、エナジーフレッシュ」
未来の魔法が僕たちにかかる。
「お、何だか体が楽になったぞ」
「本当だ」
「すごいです、未来さん」
「へへん、どんなもんよ」
「短時間にしてはよくここまで仕上げたな、ダイヤ」
「まぁね、未来の才能だよ」
「いやぁ、そんな」
「まぁ体力も戻ったことだし…もう少し寝るわ」
「おい!!」
こうして僕らはなかなか次の目的地に行かなかった。
お読みいただいてありがとうございます。ブックマークや、評価いただけるとうれしいです。
暑いので熱中症に注意してください




