次の村は敵意むき出しの件
第326話
「あ、見えてきましたよ」
カエデが言う。
「全然見えないわよ、相変わらず視力がおかしいわね」
「いやぁ、照れますね」
「未来」
「何?」
「何だか愚痴が多くなっているような」
「何ですって」
「お、愚痴キャラに変更か?受け悪いぞそのキャラは」
エリスが球体君から声を出す
「そんなキャラじゃないわよ、暑くてつい」
「なんだ、暑いなら暑いって言えよ」
ヒデリがごそごそと何か探している。
「ほら、ポータブル扇風機」
「いつの間にこんなものを」
「徹に教えてもらって作ったんだ。内部構造は私のオリジナルだけど」
「ありがとう、ヒデリ」
わかりやすく機嫌が戻ったな。僕は未来を見つめる。
「何見てるのよ」
未来が扇風機を当ててくる。
「あのー、イチャイチャしないでください。暑いです」
カエデが冷ややかなリアクションをする。
「な!!」
僕たちは思わず顔が赤くなる。
そして、30分後
「あ、見えてきたよ」
「何だか武器を持った人達がこっちを見てるわね」
「戦闘態勢に入ってるみたいですね」
「魔物と勘違いされてるのかな」
「じゃあ、あたいに任せな」
「ちょっとミサイルはダメよ」
ヒデリの背中から旗がでた。
【私たちは人間です】
「余計に怪しいわ!!」
「ああ、魔法使いも出てきたよ」
「仕方ねぇ、戦おうぜ」
「いやいや、人間同士で争ってる場合じゃないよ、とりあえず僕が話をしてくる」
「確かに徹なら大丈夫ね」
「のろけですか」
「違うって!!」
5分後
「あ、戻ってきましたよ」
「どうだった?」
「人間なのは認めてくれたけど、中には入れないって」
「ええ、そうなの」
「どうしますか?エリスさん」
「徹、そやつらの力はどうだった?」
「こないだの蜂くらいなら倒せるかもしれません。でも複数の魔物に襲われたら危険だと思います」
「そうか、じゃあ別の村にいくぞ」
「え、いいの?」
「別に村に入らなくてもこの近辺の魔物を倒しながら行けばいいだろ」
「そうだよねー、昔もそうだったねぇ」
「そうなんですか」
「うん、よそ者は入れないで自分達で何とかするって。別に珍しいことじゃないよ。まぁそれで滅んだ村もあるけどね」
「ダイヤ!!」
「事実を言ったまでだよ、エリス様。この子達にも現実をちゃんと知っといてもらうべきでしょ」
「う、うむ」
「じゃあ、あそこの村も」
「まぁ、そうならないようにこれから近辺の魔物を倒しに行くんだけどねー、あくまでも可能性の話だからさ」
「じゃあ、あっちに魔物の匂いがするので行きましょう」
「オッケー、行こう、行こう」
僕がもっとちゃんと交渉できてればよかったのかな…
「徹!!」
未来が僕の背中を叩く。
「あんたのせいじゃないわよ、あそこの村には村の事情があるんだから」
「ありがとう、未来」
「あれがのろけですか?カエデさん」
「そうです、あれです」
「あんた達…」
「はっはっは。やっぱり君たちと一緒だと飽きないねぇ」
ダイヤは思わず笑う。
「褒められて…ないわよね」
「さ、カエデが言ったところを目指そうー」
あれは…
「ライオンみたいですね」
「おー、強そうだねー」
「こっちに気づく前に奇襲をしかけましょう」
僕は力を貯める。
するとライオン型がこちらにきづく。
「あ、ばれたー
「そりゃ、そんだけ力をあげたらねぇー」
「もう!バカ徹」
「ええい、このまま行きます」
「くらえ、メルメルガドリング」
僕は炎の拳をガドリングのように打ち出す。
「あれは、マッスルさんの技の応用ですね」
「徹、いつのまに」
ライオン型はふきとぶ。
「おお、すごいねぇ。でも仲間が来たよ。私たちもやろうか」
ダイヤが力をためる。
「みんな準備はいいかい」
「「はい」」
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