次の村に生き残りは?の件
第319話
「徹さん、さっきの焼き鳥ください、お腹すきました」
「え!!あ、はい」
僕はカエデに焼き鳥を出す。
「いつも通りじゃない」
「どうかしました?」
「だってあんた。さっき焼き鳥渡されたのに食欲ないって」
「ああ、あの時は大福を沢山食べてたので」
「なんだ、心配して損した」
「なんの心配ですか?」
「カエデが食べ物を食べないなんて何かあったのかと思ったのよ」
「ああ、そうでしたか。すいませんでした」
「別に元気ならいいのよ」
ロミアがカエデの手をつなぐ。
カエデがそれに気づいてロミアを見る。
ロミアがにこにこしている。
ふっとカエデも笑顔になっていく。
(ロミアちゃん絡みで何かあったのか…でも大丈夫そうだな)
「徹?何立ち止まってるのよ」
「ああ、ごめん。今行くよ」
「それにしてもなかなか村につきませんね」
「おかしいなぁ、あと少しだと思うんだけどなぁ」
ダイヤはキョロキョロしながら歩いていく。
すると前方から人が走ってくる。
「おやおや、生き残りの人かな」
「た、助けてくれー」
よく見ると逃げてくる男の人の後ろに、恐竜みたいな魔物が襲ってきている。
「おわー、でかいねぇ」
「とりあえず、助けようぜ。ミサイル発射」
ヒデリが撃ったミサイルが恐竜型の足下を直撃する。
恐竜型はバランスを崩して倒れる。
「よっしゃ」
「ダイヤモンドバスター」
すかさず、ダイヤが攻撃を仕掛ける。
恐竜型は絶命した。
「はぁはぁ、助かりました」
「お主はどこから逃げてきたんだ」
「はい、私は向こうのぱんたこん村の者なんですが、山に芝刈りにいってたら急に魔物が来て」
「山に芝刈りって…」
「だめだよ、未来。ツッコミを入れたら負けだ」
「そ、そうね」
「それでお主の村の人々は無事なのか?」
「ええ、10人程のちいさな村ですが用心棒のお陰で何とかなってます」
「ほぅ、なかなかの手練れということか」
「めちゃくちゃ強いですよ。先生は」
「先生ねぇ」
「よし、とりあえずお主の村に案内してくれ」
「どんな人なんですかねぇ」
「なんだか楽しみだな」
「まぁ、同じ人間同士なら特に問題はなかろう」
「着きましたよ。ここがぱんたこん村です」
「ふむ、確かに平和が維持されているな」
「でしょう、今村長と先生を呼んできます」
「ああ、すまんな」
「先生ねぇ」
ダイヤが意味深な顔をしている。
「どうかしたんですか?」
「ううん、別に何でもないよー」
すると、村長と先生と呼ばれる男が歩いてくる。
「よくぞ、いらっしゃいました。ええと…」
「ああ、ラングレン王国のエリスです」
「おお、あのエリス様ですか?」
「そうです」
「あ、こちらは」
「ああ、よく知っております。久しぶりだのぅ、マルス」
「驚きました。本当にエリス様ですか」
「うむ、訳あってこんな姿になっておるが」
「やっぱりマルスかぁ」
ダイヤが残念そうに言う。
「ダイヤさんもいたんですか」
「そうだよー、うらやましいだろー」
「いや、私は」
「エリスさん、あの知り合いなんですか?」
「うむ、こやつはラングレン王国の出身だ」
「エリス様には国にいたときは修行をつけてもらいました」
「そうなんですね」
「立派に役目を果たしているようじゃな」
「ええ、何とか。しかし最近魔物が力をつけていますね」
「うむ、先程もどでかい恐竜型がいたぞ」
「倒したのですか?」
「私がトドメをさしたよー」
「さすがですね、ダイヤさん」
「ふふふ、でも私たちの後ろにいる若いメンバーはもっと強いぞー」
「そ、そうなんですか」
マルスさんは僕達を見る。
「確かに力が満ち溢れてますね。もしかして」
「ああ、地上人も数人いる」
「やはりそうですか」
「うむ、今度こそ。魔王を討伐する」
「私も…いやだめですね」
「そうだな、よく理解しておるな」
「とりあえず、村でゆっくりしてください。ねぇ村長」
「そうですな。私村長はマルス様の意見を尊重します」
…
静寂が流れる。
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