エリス・クロードの件
第314話
「よし、あそこの建物を制圧するぞ。みんな準備はいいな」
「はいです」
カエデが刀を構える。
「いつでもいいぜ」
「はぁーいつみてもすばらしいなぁ」
「ダイヤさん…」
建物には門番らしき魔物が2匹立っている。
「ぐるるぅぅぅぅ」
「じゃまだ、下級魔族よ」
エリスは2匹の魔族の首を一瞬で切り捨てる。
「な、み、見えなかった」
「メガフレア」
エリスは扉を無理やり破壊して中に入る。
「ねぇ、ダイヤさん。なんでいつにもましてエリスさんがやる気満々なんだい?」
「んー、ここはエリス様に取って色々あった場所だからかな」
「おい、お前らしゃべってないで早くこい」
「あ、はい。すいません」
「徹、オペラって知ってるかい?」
「あ、はい。10年前のお仲間でしたよね」
「うん、彼女の結末は私もつい最近聞いたよ。あの時はめちゃくちゃ泣いたなぁ」
「あの、それで…」
「うん、ここはオペラの旦那が住んでたところなんだ」
「そうなんですか」
「そう、でも10年前の戦いで魔族に殺されちゃってね…すぐに私たちが魔族を倒したんだけど遅かったんだ…」
「そうだったんですか…」
「だからまたここに魔族が住み着いてるのが気に入らないんだよ。エリス様は」
「あの、エリスさんどんどん先に行ってしまわれましたよ」
ロミアが声をかける。
「あ、やば。急ごう」
急いで建物に入ると魔物が沢山群がっている。
エリスは襲ってくる魔物をいとも簡単に倒していく。
「私たちのでる幕はなさそうですね」
カエデがポカンと立ち尽くしている。
「ああ、かえって邪魔になりそうだな」
「雑魚どもが鬱陶しい、バーニングブラスター」
エリスから炎の光が辺り1面に広がっていく。
「げ、メルメルハイパーシールド」
「ちょ、ちょっとエリス様。いくらなんでも巻き添えはなしだよ」
「徹がいるから大丈夫だろう」
「かなり限界ですけどね」
「じゃあ、お前らはここで待っていろ、ここの主を殺してくる」
エリスはツカツカと先に進んでしまった。
「どうするよ、あたい怖くてついていけねぇ」
「仕方ないねぇ、でもエリス様は昔からあんなんだよ。私から見たらいつも通りだよ」
「そうだったんですね、とりあえずさっきの攻撃で魔物は消滅したと思いますが、万が一生き残りがいるかも知れないのでそいつらを叩きましょうか」
「そうだねー、でも徹は休んでなよ」
「た、確かに。力が…」
建物が揺れる。
「いやぁ、派手にやってるねぇー」
「しかし、ダイヤさん。エリスさんの力は持つのでしょうか?」
「どうだろう?途中でおちびに戻るかもねぇー」
「じゃあ、やっぱり行かないとですね。行きましょう、ロミアちゃん」
「待って、今はお嬢ちゃんはいかない方が良いよ。魔力を感じるだけで攻撃されかねないからね」
「は、はぁ」
「じゃあ、私一人で遠くから様子見てきますね」
「頼んだよ、カエデ」
「そんなにヤバイの?」
未来がダイヤに聞く。
「ヤバイと言うか、それでエリス様とお嬢ちゃんが本気バトル始められちゃうと困るからね、それを警戒したのさ」
「私はエリス様とは戦いませんよ」
「でも過去にドンパチやらかしたって聞いたよ」
「うぅ、あの時は記憶があまりありません」
「そうなっちゃ困るからここで待っててほしいのさー」
「じゃあ、あたいも見てくるよ」
「うん、頼んだよー」
「やれやれ、この建物は複雑すぎてめんどくさいな」
エリスはいろいろなところから飛び出てくる魔物を簡単に倒していく。
「まぁ、いい片っ端から倒してやる」
ドゴォォォォン
「またすごい力がでましたね」
「うん、早くこの建物に住み着いた魔物のボスが出てこないと建物ごとなくなるかもね。私たちは外に出てようかー」
「そうしましょう」
「え、でもカエデさんとヒデリさんが」
「だいじょうぶよ、ロミア。あの2人ならうまく逃げてくるわ」
未来はピョンピョン飛んでいる。
(あとは、ここのボスがエリス様を刺激しなければいいけど…)
ぼくたちはとりあえず建物から避難する。
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