そろそろ合流の時間の件
第298話
「しかし、自由時間にしていいと言ったがなかなかみな帰ってこないのぅ」
「まだ、約束の時間の30分前じゃーん。それは帰ってこないよ」
「それもそうか。ん?」
「おーい、ただいま」
「メカ子か。メカに入ってないから誰かと思った」
「ああ、あの格好だとこの町じゃ目立つみたいでさ」
「この町じゃなくても目立っておるぞ」
「そうか?」
「早かったな」
「ああ、この町のゴミ屋敷を片付け終えたから帰ってきた」
「ごみ屋敷かー。大変だったでしょ?」
「いや、あたいにとっちゃ宝の山だったよ」
「じゃあパーツも沢山できたんだねー?」
「ああ、盛りだくさんだぜ」
「集合まで30分か、そろそろ戻ろうか」
「そうね」
僕たちは見晴らしの良い場所まで歩いて休んでいた。
「接吻しないですねぇ」
「私も見てみたいです」
ロミアが顔を出す。
「あんまり出るとばれますよ」
「だって見えないんですもん」
「何だかあそこの林が騒がしいな」
「もしかして敵?」
「あ、やばいばれそうです、隠れましょう」
「は、はい」
「静かになったね」
「そうね、じゃあ帰ろうか」
2人は歩き始めた。
「あーあ、接吻はなしか」
「残念ですね」
「じゃあ私たちも戻りましょう」
「はい」
「戻りました」
「おお、カエデもロミアも一緒か」
「えっ」
僕は後ろを振り向く。
少し距離をおいて2人が歩いていた。
「いつの間に」
「まさか、つけられてたのかしら」
「あんたたちいつの間に後ろに」
「今ですよ今。ねぇロミアちゃん」
「そうです、今です。見晴らしのいい丘からですよ」
「…」
「あんたたち…」
「ひぃ、すいません。すいません」
「何をしとるんだ、お主らは。これから町長に会いに行くぞ」
「なんだ、てっきりそういうのはエリスさんが話し終えてるのかと思った」
「そうしておけば良かったと後悔しとるよ」
「どういうこと?ダイヤさん」
「エリス様は子供たちと遊びまくって疲れたんだよー、でもあんなに楽しく子供と遊ぶエリス様が見れて私は嬉しかったよー」
「大変でしたね、エリスさん」
「もうワシは疲れて何もできない、ダイヤあとは任せたぞ」
「オッケー、オッケー」
「でもエリスさんもついてきてくださいよ」
「えー、だるいー」
「おとなしくついてきなさい。怠け者」
「おー、未来は強いねぇ」
「いつもこんなですよ」
僕は少し呆れて言う。
「ふーん、ほんと変わったんだねぇ」
「そんなに変わったんですか?」
「うん、昔はね。エリス様は昔あまり人気がなかったから」
「人気って」
「ここの世界はさ、異世界から人を召還して魔物退治を代々やってきたでしょー。エリス様はこの世界出身なのに強力な力を持ってたから、色々ヒガミだったり、人間じゃないんじゃないかとか色々好き勝手言われてたんだよー」
「そうなんですか…」
「でも魔物退治を終えたとたんに英雄扱いでしょ。人間も中々黒いよねぇ」
「そうですね。確かに僕の世界でもそういう腹黒さって言うのはありました」
「そっかー、そこはどこでも一緒なんだね」
「おい、2人とも早く行くぞ」
エリスは未来に引きずられている。
「まぁ、昔の面影はないけど、エリス様はエリス様だからさー」
「そうですね」
「ちょっと私が町長に挨拶するんだから先に行かないでよー」
ダイヤが走って先頭になっていった。
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