グラングランの町からまた旅に出ますの前にあいつが来た件
第275話
「10人ですね、わかりました。戦士の適正と魔法適正がある人間がいると」
「そうだ、アレク。色々な手続きを頼むぞ」
「わかりました、こちらから兵を派遣しますか?」
「いや、そちらにむけてゲートを開くから、そうだな…明日にするかな」
「ゲートですか。大丈夫ですか?そんなに力を使って。なぁに心配はないよ。さっさと済ませるから」
「無理はいけませんよ」
「はいはい、じゃあまた連絡する」
エリスさんが戻ってきた。
「受け入れの手配はすんだから、明日までに出発の準備をしてくれ」
「おお、本当にありがとうございます」
「また、ゲートを開くんですか」
「うむ、だから徹よ。また私に力を貸してくれ」
「わかりました」
「徹さんおかわり」
「はいはい」
「さてと」
エリスさんが再び外に出ようとする。
「どうしたのよ」
「てっきり尻尾巻いて逃げたかと思ったが…」
「来ましたね」
「エリスさんと徹さんは明日のために力を残していてください」
ロミアが言う。
「む、よいのかロミア」
「はい、ヴィガンですよね?なんとかなりますよ」
「あたいも手伝うぜ」
「大丈夫です。私1人で。ちょっと行ってきますね」
「ピンチになったらちゃんと呼ぶんだぞ」
「はい、わかりました」
ロミアは地下室から出る。
やっぱりヴィガンだ。
「なんだ、一人だけか」
「私の気配に気づきませんか?ヴィガン」
「なに?な、ロミア様」
「相変わらずですね」
「脱走して人間側についたのは本当でしたか」
「あなたの耳にも届いていると言うことは王もご存知ですね」
「ええ、そうですね」
「それで王はなんと言っていましたか?」
「見つけ次第殺せと言っていたよ、メガフラッシャー」
「やはりそうでしょうね」
私は右手で攻撃を受け止める。
地下室が揺れる。
「戦いが始まったようね」
「助けにいかなくていいんですか、エリスさん」
「本人が言いと言ってるんだからいいんじゃね?」
「いや、そんな簡単に」
「まぁもう少し待ってみよう」
「ヴィガン、ちょうどよかったわ」
「なんだと、私はお前を殺してさっさとエリスと再戦するのだ」
「再戦、ふふ。話しにきくとボロ負けだったみたいじゃない」
「なんだと、貴様ぁ、ダブルメガフラッシャー」
「そろそろ魔力の補給をしたいところだったのよ」
私は両手でヴィガンの攻撃を吸収する。
「ぬうぅぅ」
「さっさと怪獣になりなさいよ。これじゃあ足りないわ」
「王の娘だからと調子に乗りやがって」
「これなんだ?」
ロミアはヴィガンの右手を持っていた。
「ぐぁぁぁ、いつの間に」
「早く怪獣になりなさい、ヴィガン」
「うぉぉぉぁぁぁぁ」
ヴィガンが形態をかえて怪獣の姿になる。
「待ってたわ、ヴィガン」
ヴィガンの周りに紋章が浮かび上がる。
「な、なんだこれはぁぁ」
ロミアは詠唱を唱える。
「この技は久しぶりだけど大丈夫そうね」
「暗黒の彼方へ消え去りなさい。ダークネスアブソープション」
「な、なんだこれはぐぎゃぁぁぁぁ」
ヴィガンは闇に消える。そして、それは黒い塊になる。
ロミアはそれを手に取り体に取り込む。
「ふぅ、なかなかの魔力よ。ヴィガン、でもまだ王を倒すには足りない…」
「なかなか残酷な殺し方だのぅ」
私はドキッとして振り向く。
腕を組んだエリスさんが見ていた。
「見ていましたか」
「別に魔族の力は見慣れてるから気にすんな」
「見慣れてるだけですか?」
「あまり、詮索はするなと言ったはずだが?」
「そうでしたね」
「まぁ、よいヴィガンと戦わなくてすんだし。欲を言えばあの村の人達の仇は私の手で討ちたかったが」
「まぁ、結果オーライじゃないですか?私も力を蓄えられましたし」
「そういうことにしておこう」
エリスとカエデは地下室に戻って行った。
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