次の目的地はまた寒いですよの件
第266話
「何だか嫌な予感がします」
カエデが真剣な顔をして言う。
「どうしたの?またお腹でもすいたの?」
「違いますよ、未来さん。感じませんか?」
「何も感じないけど…」
「僕も感じないな、何か強い魔物でもいるのかい?」
「何で誰もわからないんですか!!気温が下がって来ましたよ」
「ああ、確かに寒くなってきたな。福原のせいであんまり気づかなかった」
「ん?」
タンクトップの福原がこっちを見る。
「確かにそうね」
「なんだ?」
「寒いのやだぁ、帰りたい」
カエデは駄々をこね始める。
「しかたねぇな、カエデ。球体君に入ってろよ、あいつには暖房機能がついているからよ」
ヒデリが球体君2号を出す。
「おお、ヒデリちゃん。あなたは神様です」
「大げさだな、カエデは」
「まぁ、カエデさんには寒さは死活問題だからね」
「情けないのぅ」
エリスが球体君から顔を出す。
「あんたはそこから出てから言いなさい」
「ふん、私は球体君から出てもフレイルの加護を受けているから寒くないのだ、えっへん」
「ならさっさと球体君を寄越しなさい」
「いやじゃ、こんな居心地の良いところから出そうとするなんて、止めんか貧乳」
「貧乳は関係ないでしょ」
そんなやりとりをしながら歩いていると雪が降ってきた。
「僕らも寒いから防寒具を出そう」
僕は魔法で自分の分と未来とロミアの分を出した。
ヒデリさんはメカを装着してるし、福原は…いいだろう。
「徹さん、あれ何ですか?」
ロミアが指を指す。
「ん?あれは」
雪だるまの大群がこちらに向かってくる
「あれ、雪だるまだよな…」
「そうよね」
「かわいいですね」
ロミアが呑気に言う。
「いやいや、こっちに向かってくるってことは魔物が化けてるんだよ」
「あ、そうなんですね」
「でも雪だるまなら、メルメルファイヤー」
僕は雪だるまの大群に向けて炎を食らわせる。
みるみるうちに雪だるまは溶けていく。
「よし、活躍できた」
「あんた、まだそんなこと考えてたの」
「おい、でかいのがくるぞ」
「よし、メルメルバーニングファイヤー」
僕は巨大な炎を出す。
巨大雪だるまはたちまち溶けていく。
「相手が雪だるまなら問題なさそうだ」
僕は自信満々に言う。
「おい、白熊みたいなのがきたぞ」
「次から次へとメルメルファイヤー」
白熊型は炎を弾く
「よし、熊退治なら俺に任せろ」
福原がダッシュする。
「マッスルガドリング」
白熊型は直撃して吹き飛ぶ。
「どうだ、熊野郎」
「ちょっと白熊がいっぱい来るわよ」
「よっしゃあ、マッスルメガガドリング」
福原の連続パンチが多数の白熊型に当たっていく。
「すごい、いつのまにそんな技を」
「俺だってパワーアップしてるんだぜ」
「よし、どんどん進もう」
「ずいぶんやる気まんまね」
「ああ、雪国はさっさと突破しないとカエデさんが大変だからね」
「そう、カエデのためね」
未来はふんと怒り始める。
「な、なんで怒るんだよ」
「知らない、バカ」
「大変だな、未来は」
ヒデリが哀れな目で未来を見る。
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