英雄を探しにある村に来た件(前編)
第25話
「エリスさんは昔の仲間を探しながら旅をしようとしてたんですか」
「ああ、すまぬ、いっておらんかったな。今の戦力でも充実はしておるが魔族もなかなか強くなっておるからな。ジョゼフやハヤテの力を借りる方法も考えておったんだ」
「で、ジョゼフさんのあてはあるんですか?」
「10年前に戦争が終わってやつはこの世界に料理を振る舞うといって旅にでたっきりわからん」
「だが、そのおはぎ娘のおはぎも元々はジョゼフが広めたのだろう。あやつは色々な料理を作っておったからな」
カエデさんはいつのまにかおはぎ娘のあだ名がついていた。
「5年前に魔族が復活して、やつが戦闘に参加したと言う噂も流れてはきたのだが」
「次にいく村がその噂の村なんだよ」
そうこうしていると村についた。
看板には『ジョゼフィーヌの村』と書かれている。
「おかしいな、この村の名前はこんなへんちくりんな名前ではなかったはずだが、それに」
ぼくも異変に気付いた
「エリスさん、この村。フィールドが張られてますね。誰も入れないように」
「そのようだな、徹。フィールドを破るのだ」
え、いいのか?
「わかりました、ではちょっとだけ」
僕はフィールドに手を触れて人が入れる大きさくらいに破った。
「なんだ、もっと大胆にいけばよいのに」
「いや、いきなりそんなことしたらなにが起こるかわかりませんし」
ダダダダ、人の駆け足の音が聞こえた。
「お前たちどうやってこの村にはいった」
「いや、そこのフィールドにちょっと衝撃を与えさせて頂きまして」
「なんと、侵略者だ、みんなやるぞ」
「違いますって、もう」
僕は天空に灼熱の炎を繰り出した。
男たちは黙った。
「いいですか、こんな手荒な真似はしたくありませんが僕らは侵略者じゃありません」
やばい説得力が皆無だ。
「私たちは英雄ジョゼフに合いにきたのだ、お主らと戦う気などもとからない。」
「ジョセフ様だと」
「私はラングレン王国、近衛騎士団長のエリスだ。それを言えば伝わる。」
「しかし、ジョゼフ様は…」
「とりあえず、村長でもなんでもいいから偉いやつをだせい」
いやクレーマー。
そして僕らは村長のいる家に案内された。
「エリス様、本当にあのエリス様なのですね」
「おお、カイメラ元気そうだな」
「ええ、お陰さまで、エリス様はすっかり小さくなってしまって」
「まあ、これには訳があってな」
「あの、エリスさん、この方は」
「ああ、10年前の戦いでこの村を守ったことがあってな。ジョゼフはこの村の食材を大変気に入っていたから噂は事実に近いだろうと思ってここにきたのだ。」
「エリス様、大変申し上げにくいのですが、ジョゼフ様は、5年前に亡くなりました」
「なんだと!!あのジョゼフが、いったいどうしてだ、魔物にやられたのか」エリスさんは驚きを隠せないようだ。
「いいえ、5年前に魔族が再び現れた際には、あっというまに蹴散らしました。」
「そんな、ある日のことですが、ジョゼフ様は海から珍しい魚をとったと大変喜んでいたのです。丸くてほっぺたがぷっくらしてかわいい魚でした。」
「これで料理をしたらとても美味しいものができると張り切っていたのです。そしていざ料理ができて、まずはジョゼフ様ご自身から召し上がられたのですが、急にしびれがでて苦しみはじめそのまま息を引き取られたのです。」
「くそ、それは魔族の罠だったということか、ジョゼフともあろう男が。よほどの魔力をもったものが仕掛けたのだろう」
どこからつっこめばいいのだろうか。
「あの、カイメラさん。ジョゼフさんが持ってきた魚ってこれですか?」
僕は頭でイメージをして河豚をポンと手の上に出した。
「こいつです、このおそろしい魔物にジョゼフ様はやられたのです。しかしなんであなたが」
「徹、どういうことだ。説明しろ」
「あ、あのこれは魔物ではなく、僕たちの世界にもいる河豚という魚です。ただ毒をもっているのでちゃんと調理をしないと危険な食べ物なんです。おそらく、ジョゼフさんは河豚の調理方法をご存知でなかったのだと思います。」
僕は手の上の河豚をぱっと消した。
「なるほど、ではあそこにある奴の銅像は弔う形で作られたのか?」
よくみると僕が想像する通りのシェフの格好をした男性の銅像が建てられていた。この人はどうやって魔物と戦ってたのだろうか。
「いえ、あの銅像はジョゼフ様にこの村に残ってもらうために村のものが作ったものです。ジョゼフ様は亡くなる寸前にあの銅像に魔法をかけこの村にフィールドを張ったのです」
「そうか、死してなおこの村を守っているのか。やつは本物の英雄だな…」
エリスさんは独り言のようにつぶやいた。
「話しは変わりますが今日は宿を用意させましたので皆様、お休みになられてください。」
僕らは宿に案内された。
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