カエデとロミアとヒデリの件
第234話
「カエデさん、ありがとうございます」
「ああ、いいんですよ、あの王様なかなかの目利きなのであの場にいると色々とややこしくなりそうだったので」
「へー、そこまで考えてたんだ、やるなカエデ」
「そうですよ、ロミアちゃんの為なら私がんばります」
「あ、ありがとうございます」
「ところで、誰だっけ。誰を尋ねればいいっていってたかな」
「私も忘れました」
「あの、ワンダーさんって言ってましたよ」
「ああ!そうだ。その人もあたいの族長の知り合いなのかなぁ」
「ヒデリさんの族長はあまりしゃべんないんですか?」
「ああ、あたいが研究に没頭してたせいもあるのかなかなか話さなかったな、村も黙って出てきたし」
「えっ?そうなんですか」
「よく、黙って出てきてるから、大丈夫だよ」
「そういうものなんですね、それよりもお腹すいたなぁ」
「あ、私。徹さんに大福貰いました」
「おお、さすがロミアちゃん」
ロミアは三人分の大福を出す。
「しかし、ワンコだっけ?いないなぁ」
「ワンダーさんですよ」
「そこの人に聞いてみましょう」
「あたいは恥ずかしいから聞きたくないよ」
「しかたありませんね、私が聞いてきましょう」
カエデが胸を張る。
「おめぇ、胸でけぇな」
「話がそれてますよ」
「あの、すいません、このへんにワンダーさんのお家はありますか?」
「え、ああ、あるけどあいつは変わり者だぜ、関わらない方がいいぞ」
「ほ、ほう、そうですか?ちなみにどこにお家は」
「あの橋を渡るとすぐにあるよ、外観が派手だからすぐわかるよ」
「そうですか、ありがとうございます」
「おまえ、忍者のくせに社交的なんだなぁ」
「忍者をなんだと思ってるんですか?」
「黙って、後ろから暗殺する感じ?」
「情報収集も忍者の立派な仕事ですよ」
「カエデさん、すごいです」
「ロミアちゃん、ありがとうです」
「で、あそこの橋を渡ればあるんだな」
「ええ、かなり目立つらしいですよ」
「よっしゃ、いくべ」
「ちょっとまった。大福を食べさせてください」
「あいよ」
ロミアが露店のブローチを見ている
「ロミアちゃん、それほしいんですか?」
「あ、いえ翡翠色で綺麗だなって思って」
「あの、店主さん。このブローチいくらですか?」
「え、大丈夫ですよ」
「まぁまぁ」
「10ガイルになるよ、お前さんそんなに金持ってんのか?」
ごそごそとカエデは胸に手を入れる。
「はい、10ガイルです」
「お、おお、サービスでこのブローチの小さい版もつけるよ」
「おお、サービス精神旺盛ですね」
「ああ、こっちもサービスしてもらったからな」
「?」
「まぁいいです、はい。ロミアちゃん」
「ありがとうございます」
「あの!!」
「はい?」
「小さいのはカエデさんがつけてくれませんか…お揃いが良いです」
「おお、わかりました」
カエデはすぐにブローチをつける。
「これでお揃いですね」
「はい」
満面の笑みでロミアは笑う
(あれ?あたいなんか置いてかれてねぇか?)
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