次の村に行く途中なんだか怪しい件
「次の村はこの先直進すると見えてくるみたいだぜ」
ヒデリが地図を確認しながら言う。
「こっちの方は私もいったことがないなぁ」
「また、忘れてるだけじゃないの」
「人をボケ老人見たいにいうな」
「むっ」
「どうしたのよ」
「エリス様、徹さん感じましたか?」
「うん、強い魔力を感じる」
「この力…まさかあやつか?」
「知ってるの?昔似たような気を持ってるやつがいたが、あいつは私が倒してるからな」
「ちなみにどんなやつだったんですか?」
「うむ、人間を魔力で操ってコマにするやつだった」
「人間も相手にしながらだし、仲間の中にも操られてしまうやつもいたからそれはそれは苦労したよ」
「そいつじゃないといいですね」
「ああ、とりあえず向かってみるぞ」
「だいぶ歩いたけどなかなか着きませんね」
「うむ、なんか変だな」
「もしや、すでにやつの幻術にかかったか?」
「おやおや、なかなか鋭い人間もいるようですね」
「やっぱり、貴様か。えっとゲローニだっけ?」
「ゲローナだ、私を知っているとは貴様何者だ」
「どーでもいい、なんでお前生きているんだ」
「私の幻術は魔王がと姫様が大変お気に召していたのでな、それなのにあのにっくきエリス・クロードに殺されてしまった」
「ほうほう、それで気に入られてたから生きかえさせてもらったと、ベタなやつだな」
「さっきから生意気なガキだな、私の幻術にかかるがよい」
「まるで成長してないな。私には幻術は効かないとあれ程身を持って知っただろうに」
「な、まさか貴様、エリス…の子供か?」
「んなわけあるか、エリス本人じゃ」
「なんだと…ふっでも周りのやつらは幻術にかかったようだな」
「何?」
エリスは周りを見回す。
「どうかしました?」
「僕らは普通ですけど」
「あれ?なんで貴様らも効いてないんだ?お前ら、化け物か」
「魔族に化け物とか言われるのなんか腹立つわね…」
「フフフフ、美味しかったぁ」
なんだかイヤな予感がする。
「相変わらず美味しいわね、ゲローナ」
「なんだ、お前は」
ロミアがローブを外す。
「な、な、な、ロミア姫がなぜこここここここ」
「おちつけ、ゲロ」
「汚いわよ、エリスさん」
「ゲローナ、もっとちょうだい、あなたの幻術を」
「ロミアちゃん…」
「早くしてよ」
「いや、なんで、ロミア姫が」
「もう良いわ、消えなさい」
ロミアが消える。
「な、な、な、」
「後ろよ」
ロミアが放った黒い火球がゲローナを包み込んだ。
「うげぁぁぁぁぁぁぁ」
「死んだな」
「死にましたね」
ロミアは上空で鼻唄を歌っている。
「酔いが冷めるまでほっておいたほうが良いな」
「そうしましょう」
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