主人公とはの件
第206話
「もうさー、ロミアが主人公でよくね?」
エリスがぼやいた。
「また、メタ発言」
未来が注意した。
「だって、魔王の娘で、チートだし」
「強いのは確かだけど」
僕が言う。
「いいじゃん、ロミア、どんどん目立ってこうぜ」
ヒデリさんは相変わらずマイペースだ。
「題して、魔王の娘として生まれてきたけど魔王が嫌いで勇者パーティの仲間になって無双した件、これでよいじゃろ?」
「ちょっと惹かれるな」
「おい、そこのオタク」
「いや、そういう作品あったら読んでみたい」
「私の話を聞きなさい、そこのオタク」
「私は主人公じゃないですよぅ」
ロミアが涙目になる。
「そうですよ、ロミアちゃんは主人公というよりヒロインじゃないですか?」
カエデがさらりと言う。
「ヒロインって私じゃないの?」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
「もういいです」
未来は後ろに下がっていった。
「おい、あそこになんか見えるぞ」
福原の声を久しぶりに聞いた気がする。
「なんだろう、灯台みたいだな」
「湖の近くだからか?」
「とにかく、いってみようぜ、カエデ。魔物の匂いはするのか?」
「はい、ヒデリちゃん。匂いがしますよ」
「よっしゃあじゃあ行こうぜ」
ぼくたちは灯台めがけて進んでいった。
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