2人で散歩の件
第177話
「しかし、2人きりさせるとは、なかなかやるな大福娘」
「ふっふっふ、あの鈍感男に少しは未来さんの気持ちに気づいてほしいので頑張りました」
「ねぇ、未来」
「な、な、な」
「未来は早くこの世界から帰りたい?」
「えっ、そりゃ早く帰りたいわよ」
「そうだよね、もしあれならラングレンのお姫様に頼んで帰ることもできるって」
「え、そうだったかしら?」
「そうだよ、最初に説明されたじゃないか」
「そんな気もするわね」
「もし、あれなら未来だけでも先に」
(あのバカ、お前と一緒に帰らなきゃ意味ないだろう)
(なんとバカなんでしょう)
「え、私に先に帰れって言うの?」
「いや、早く帰りたいって言うからさ」
「みんな一緒じゃなきゃ意味ないの」
「どうして、そんなに怒ってるんだよ?」
(エリス様、クナイ投げてもいいですか?)
(落ち着け、大福娘)
「僕は、もちろんみんなで帰りたいし、未来と一緒が良いんだけど、これからの戦いで未来が危険な目に遭うのも嫌っていうか」
「え、一緒がいい」
(あ、未来のやついいところだけ拾ったぞ)
(後の話聞こえてませんね)
「あのー、未来?」
「あ、はい」
「だから危険な目に遭う前に帰るのもひとつかと思って」
「…守ってくれるんでしょ?」
「えっ?」
「私が危険な目に遭ったら徹が守ってくれるんでしょ?」
「うん、もちろん」
「じゃあ、一緒にいさせてよ」
(今、今です、接吻のチャンス)
(おい、大福娘。乗り出すな)
(またとないチャンスですよ、鈍感男)
(待て待て、バランスが)
どしゃあ
「痛た、大福娘気を付けんかい」
「すいません、エリス様。つい」
「あんた達なにやってんのよ」
「や、やあ二人とも」
「このお邪魔虫ー」
なんだか相変わらずにぎやかだなぁ。
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