目立たない女と鈍感男の件(後編)
「美味しかったね」
「そうね」
二人は気恥ずかしそうに店から出ていく。
「次はどこにいくのでしょうね」
「また、ショッピングですかね」
カエデとロミアは相変わらず、尾行?を続ける。
「ねぇ、未来」
「は、はい」
「あそこの高台に行ってみない?」
「いいわね」
「おお、鈍感男がリードしましたよ」
「カエデ様、おにぎり買ってきました」
「おお、いつの間にさすがロミアちゃんは出来る子ですね」
「それで、あの二人はどこにいくんですか?」
ロミアも気づいたら偵察にノリノリになっていた。
「あそこの高台にいくみたいですよ、ロミアちゃん体力は大丈夫ですか?」
「はい、皆さんに言う機会がなかったのですが、私は体力だけには自信があるんです」
「それは頼もしいです」
(思えばこんなにロミアちゃんと楽しく行動することは初めてですね。意外な一面が見れました)
二人は後を追った。
そのころ…
「うおりゃあ」
福原が兵士を投げ飛ばす。
「まだまだ、俺のマッスル力には程遠いぜ。よし腕立て伏せ100回だ」
「のう、エリス。うちの兵士を脳筋にする気か?」
「だって、私指導なんてしたことないですもん」
だらだらと王室のソファーでエリスが寝転びながら言った。
「お主の怠けぐせも相変わらずじゃな」
「1日指導しただけでも褒めてくだされ~」
「しかし、あの筋肉くん、指導者むきだのう」
「この城の兵士は元のポテンシャルが高いのでマッスルの作った、筋トレメニューを今後も続ければ、体力と力がついてより屈強な兵士に育ちますよ~」
(相変わらずの考察力じゃな)
いっぽう…
「高台まで意外と距離があるね」
「あんた、やっぱり体力作りちゃんとやんないとダメね」
未来が呆れて言う。
「あ、ああそうだね」
「うわー、誘っといてバテてますよ」
「ダサい」
さすがにロミアも呆れる。
「そうだ、あそこまで飛んでみようか?」
「えっ」
徹は魔法で絨毯をだした。
「わ、ちょっとこれ乗れるの?」
「大丈夫だよ、あそこの高台目指して、空の散歩をしよう」
「うん」
未来は嬉しそうに返事をする。
「あ、カエデ様、飛んでいってしまいました」
「しょうがないでふね、まぁ行く先はわかってます。さきまわりひまひょう」
「とりあえず、食べるか話すかどっちかにしてください」
「はぁ、着いたね」
「そうね、上からみる景色もなかなかね」
「あ、あのさ未来」
「どうしたの?」
「これ、プレゼント」
徹はさっきのアクセサリー店で未来がみていたネックレスを渡した。
「えっ?いつの間に」
「いや、気に入ってそうだったから、トイレにいったあとに買ったんだ。入らなかった?」
「ううん、すごく嬉しいよ、ありがとう」
未来はネックレスをつける。
「どう?似合ってる」
「うん、良く似合ってるよ」
「接吻のチャンスですよ」
「そうですね、今しかないです」
先回りしていた、カエデとロミアが二人の様子をなんとか覗きこもうと、していた。
「ちょ、ロミアちゃん、押さないでください」
「私にも見せてください」
「あのー、二人ともなにやってんの?」
「あんたたち…」
「…通りすがりの者です」
カエデがぽつりと言った
静かだ…
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