城に戻ったら引きこもりの姫と出会った件
第10話
僕たち三人は大歓声をうけながら城に戻った。
「では、今日は部屋に戻ってゆっくり休むとよい、フジワラ殿の部屋はあっちで、相原殿はあそこの部屋だからな」
僕は部屋に入った。なかなか広い部屋だ。部屋に入るなりベッドに横たわった。
今日1日で色々なことがあった。
これは現実なのかはたまた夢なのかまだ実感はわかない。
そんな僕に突然襲いかかってきた。尿意だ。あれそういえばトイレはどこだ。部屋を見渡してもみつからない。仕方なく部屋からでてトイレを探すことにした。
すると大きな扉が開いた。
「なんじゃ、お主」
「え、僕はこの世界に召喚された」
「ああ、私が召喚した、さえない男か」
なんという物言いだ。
あれ今私が召喚したっていったな。て、ことはこの子がお姫様ということか。
「用がないなら私はお菓子をとりにいって、ニョーチューブをみて引きこもりたいのじゃが。なんならお主菓子をもってきてくれ」
ニョーチューブ?この世界にも動画サイトみたいなものがあるのか…
てか、この子すごく僕と同じ臭いがする。いやそれ以上の引きこもりか?
「わかりました、えーとお菓子はどこに」
「そこらへんを歩いているメイドにでもきいてくれ」
僕は長い廊下を歩いた。メイドさんがいた。
「あ、すいません。お姫様がおかしをと」
「ああ、今お持ちするところでした。よければあなたお持ちになっていただけせんか」
僕は気づいたらお姫様のお菓子をもって部屋に向かうはめになった。
「あの、お姫様。お菓子をもってきましたよ」
「おお、入れ、入れ」
部屋に入ってみると、お菓子やジュースのごみがいっぱいで、完全に引きこもりの部屋だった。
「なんじゃ?なにかいいたげだな」
よくよくみるとこのお姫様は僕よりも少し年下くらいなのかな。小綺麗にすれば美人なのかもしれない。
「あ、いやさきほどニョーチューブとおっしゃってたのが気になって」
僕はおもわずみとれていたのをごまかした。
「おお、興味があるのか。これはないろいろなクリエイターが動画を投稿してそれを視聴者が楽しむのだ」
こっちの世界にもある例のあれか…
「あ、でもアニメはないんですね。」
「アニメ?なんだそれは?おもしろいのか?」
お姫様は目をキラキラして顔を近付けてきた、
近い。女子とこんなに近く接近したのは初めてだ。
「いや説明すると長くなるので今はニョーチューブを楽しみましょう」
こうして僕はお姫様とニョーチューブ鑑賞をすることになった。すると突然
「なあ、お主。お主はワシのことを恨んでおるか?」
僕はどきりとした。
「いきなりこの世界に召喚されて。魔物を倒せと言われても理不尽であろう?もし還りたいのであれば今すぐ還すぞ」
たしかにいきなりこんなことになってはしまったが僕はこのお姫様に憎しみは感じなかった。むしろこんなに幼いながらにこんな宿命を背負わされてるこの子がかわいそうに思えた。
「たしかに戸惑いはありますが、まだここにきたばかりでよくわかりません。もう少しここにいてもいいのかなと今は思っています」
「そうか、無理はするなよ」
僕は頷いた。そして、夜が明けるまで一緒にニョーチューブを観ていた。
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