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サイボーグわんちゃん Part8

その日も学校が終わって、いつもの河川敷でアイと一緒に大縄跳びの練習をしていた。

ぼくが2つのなわをむすんで、片方を細い柱にくくりり付ける。片方をアイが口で持つ。ぼくがその間に入るとアイが器用になわを回す。ちょっとした大縄跳びだ。これが自分一人でとぶよりもずっと難しかった。ぼくはなわを見ることも、飛ぶタイミングを合わせることも他のみんなと比べてずっとへたくそなようだった。

何回も足になわがひっかかているんだけど、ぼくはずっと練習を続けていた。きっとぼくはどんどんととぶのが上手になってきているはずなんだ。ケンイチにいちゃんの言葉を思い出す。始めたころよりずっとうまくなってるって。アイもいっしょうけんめいになわをまわしてくれている。ずっとぼくの練習につきあってくれているアイに、情けないところを見せるわけにはいかない。

なんどもなんどもなわにひっかかって練習してを繰り返していると、ふいにアイの耳がぴくっと動いて、なわを回すのをやめた。

「どうしたの?」

ぼくの声にはこたえずにアイは空気を鼻ですんすんとかいでいる。なにかをつかまえに行くかのように、アイはぼくからは見えない橋の下にもぐりこんでいった。

待って、と言いながらアイを追いかけていったぼくは、橋の下を見てぎょっとした。暗くなっているところに、なにかがうずくまっていたからだった。アイはそれに近づいて鼻をふんふんならしている。

なにかがそれに気づいて、顔を少し上げた。見たことのある顔で、ぼくはあっと声を上げてしまった。

同じクラスのリュウヘイ君くんだ。いつもぼくが大縄跳びでとぶのを失敗したときに、一番に笑う子。

リュウヘイくんは声を上げたぼくにも気が付いたみたいだった。目の周りを赤くはらしている。泣いていたみたいだった。リュウイチくんはまずいものを見られたという顔でぼくの顔をしばらくじっと見ていた。ぼくも何も言えないままリュウヘイくんの顔を見つめていた。

「見るなよ」

「あ……ごめん」

リュウヘイくんの言葉にぼくは思わずあやまってしまった。

「おれだけが知ってるところだと思ったのに……なんでここにいるんだよ」

「あの、えっと、アイと一緒になわとびの練習をしていて……」

「アイ?」

「そこの、犬」

アイは尻尾を振ってリュウヘイくんの顔をみつめていた。

「へえ、シラセって犬飼ってるんだ……重っ」

屈んだままリュウヘイくんはアイを抱えようとしたけれど、やっぱりむずかしいようだった。

「その……リュウヘイくんはどうしてここに……?」

いつもはぼくの顔を見てよく笑ってるリュウイチくんだけど、今はぼくの顔を見ようとしない。

「どうだっていいだろそんなこと」

「ご、ごめん……」

リュウヘイくんが体をつかもうとしている手を、アイはペロペロとなめた。

とっても不思議なんだけど、アイに手でも顔でもどこでもなめられると、とっても落ち着くんだ。


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