サイボーグわんちゃん Part12
その日から僕はしばらく一人で外に遊びに行けなくなった。ぼくが危ない目にあったことで、お父さんとお母さんはちょっとケンカをしてしまったみたいだった。お父さんはぼくに外で元気よく遊んでほしいからって、一人で外に行くのを喜んでくれていた。でもお母さんは、ぼくが危ない目にあわないように誰か大人の人と一緒にどこかに行くようにしないとダメだって思っていたみたい。車にひかれそうになっちゃって、お母さんは自分の考えが正しくってお父さんが間違ってたってお父さんに怒った。お父さんはちょっとしゅんとなって、いつも大きな肩がその日はとても小さかった。でも、お父さんはやっぱりぼくに自由に遊んでほしいらしくって、それがお母さんはぷりぷりしていた。ぼくはお父さんが言ってるみたいに、一人で好きに外に遊びに行く方が好きだし、一人で外に遊びに行ってはいけないって聞いたときに大声で泣いてしまった。
泣いてしまったぼくを見てお母さんとお父さんは困ってしまったみたいだった。
「シュンスケが悪いわけじゃないの」
お母さんはとてもやさしい声で言った。
「今回は大丈夫だったけど、やっぱり一人は危ないから。しばらく我慢してね」
「でも、アイがいるよ」
ぼくの言葉にお母さんはとお父さんはしばらく顔を見合わせて、くすっと笑った。
「アイは、うん、そうだね、すごく頼りになるけど、人の言葉はあんまりわからないし、シュンスケを助けられるわけじゃないから」
「でも、アイがぼくの代わりに車にぶつかってくれたんだよ?」
お父さんとお母さんはまた顔を見合わせた。そのあと二人でアイを見る。アイはぶんぶんとしっぽをふって、とても遊んでほしいみたいだった。
「そうなんだ。アイはとてもすごいね。でも、次も助けてくれるとは限らないよ。それに、代わってもらうような危ない目にあわないようにしたいんだ。アイも代わりに車にぶつかったら、とっても痛いと思うしね」
そのとおりだと思った。ぼくが危ない目にあうたびにアイが代わってくれて、それでアイが痛いと感じちゃうのはぼくには嫌だった。ぼくは悲しかったけれども、うんうんとうなずいて、しばらく一人で外に出ないようにお母さんとお父さんに約束した。
お父さんとお母さんはいつのまにか仲直りしていたみたいだった。