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サイボーグわんちゃん Part10

「河原にリュウイチくんが来てたの」

お父さんとお母さんといっしょにご飯を食べているときだった。

ぼくはどうしても二人に聞いてみたいことがあった。

リュウイチくんは誰にも言うなって言っていたきがするけど、まあいいや。

「リュウイチくん? あー、あのちょっと気難しそうなあの子ね。何かして遊んだの?」

「ううん。リュウイチくん、1人で泣いてたの。お母さんとお父さんにいじめられてるからって」

ぼくの言葉を聞いたお父さんとお母さんの表情が、急に険しくなった。ぼくは怖くなって、聞きたいことを言い出しにくくなってしまった。

「……リュウイチくんは、なにか言ってた?」

「リュウイチくんのお父さんとお母さんが、リュウイチくんの悪口を言ってるんだって。それで、ケンカしてるって」

お父さんとお母さんが険しいままの顔を見合わせた。

アイは何も言わず、ぼくの顔をじっと見つめていた。

「ちょっとわからなくて。そういうふうにおとうさんとおかあさんとなかよくない人もいるのかなって。それを聞いて思った。お父さんとお母さんはとても仲良しだけど、仲悪くなることもあるのかなって。お父さんとお母さんがケンカして絶交しちゃったりしたら、ぼくはどうなるの?」

お父さんは笑ってぼくに言った。

「お父さんとお母さんだって、ケンカすることぐらいあるよ」

「そうなの!」

ぼくはびっくりした。そんな様子一度も見たことがなかった。

「そりゃお父さんにはお父さんの考えがあって、お母さんにはお母さんの考え方があるんだから、それがうまくいかなくなったときは、口げんかもするし、仲悪くなったりすることもあるよ」

「そうなんだ……」

そう言われて、ちょっと僕は不安になってきた。

「でも、さすがに絶交はしないかな。お父さんはお母さんが好きで一緒になったんだし、お母さんも……たぶん……お父さんのことが好きで一緒になって、シュンスケと一緒に暮らしてるんだ」

「たぶん、じゃなくていいよ。私もお父さんと同じ」

「ありがとう。だからシュンスケは何も心配しなくて大丈夫だ。学校行って、勉強して、自分の好きなことをいっぱいするんだ。お父さんとお母さんのことは僕ら自身でなんとかするし、うまくやっていくから」

「そうなんだ……わかった」

とてもすっきりしたけど、結局、リュウヘイくんのお家のことはどうなるんだろうと、そのモヤモヤがぼくの胸に残ってなかなか離れようとしなかった。



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