42.2度
体温の低い人間は、36.8度の熱でもしんどくてきつくて動けなくなるらしい。
私は平熱が36.5度なので、そういう感覚が、あまりない。
真夏の、最高気温42度を記録したある日。
私はのどの痛みが激しくなる中、旦那の仕事を手伝っていた。
外はとても暑いはずなのだが、汗をだらだら流しながら働いている旦那に比べて、私の体は震えが止まらない。何か、おかしい。
「のどが痛いくらいで休もうとするなよ!!動けるんでしょ!!」
そうだね、動けるもんね。
そう思って、震えながら真夏の太陽が照り付ける中、震えながら電気工事の手伝いをしたのだが。
帰りの車の中で、寒くて寒くてたまらない。
エアコンを切ってもらっても震えが止まらない。
旦那は暑くて汗がぼったぼった垂れている。
こんなんでは仕事にならないので、時間外の市民病院で診てもらうことにした。
「すみません、寒くて寒くて震えが止まらないので、震え止めの薬が欲しくて。」
「じゃあ、熱を測ってください。」
受付で体温計を渡されて熱を測る。
「すみません、これ壊れてますね、42.2度ってでてる。」
「そんなばかな。」
何度測っても、42.2度。
「ちょっと血液検査します、こっち来てください。」
血を抜かれて待っている間も、震えが止まらない。
震えが止まらないので、あちこちうろうろと歩き回っていたら。
「入院です。」
「はい?」
咽頭炎から来る発熱で、血液検査の結果が大変なことになっていたらしい。
明日も仕事に行くつもりだったのだが、いけなくなった。
旦那が怒っていた。
「動けるなら大したことないじゃん!」
「血液検査の結果は動けないはずの数値なので、絶対無理です。」
「なんかごめん。」
一週間入院することになってしまった。
病院食はのどが痛くて二日くらい食べることができず、点滴をする毎日。
熱が出て動けるタイプの人は、気を付けた方がいいときつくしかられてしまった。
あれ以来震えが止まらないほどの高熱を出したことはない。
あの震えを経験してしまうと、まだ大したことないなと思い込んでしまうという事も、あるんだけどね…。
旦那はというと、熱で入院することもあるんだと変に気を遣うようになってしまい、体温計を常に離さない人間になってしまった。けれど平熱が35.5度の彼は、なかなか37度まで届くことがなく。
「36.8度だったから、今日は仕事休むわ…。」
体温の低い人は、低い人なりに、かなり大変そうだなあと、思う毎日。