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属国日本  作者: 豊崎 信彦
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南北統一

 日本が宣戦布告される約半年前。

無能無策のレッテルを貼られた、韓国大統領漢賢俊(ハン・ヒョンジュン)大統領の任期が、残すところ半年余りとなっていた。


漢政権の現実を無視した、自分の理想“融和政策”を急激に推し進めた為に、アメリカとの友好関係は完全に破壊されていた。

中国にも相手にされなくなり、肝心な北朝鮮には足元をみられ貢物だけを要求されていた。

国連制裁により国民の生活が困窮していた北朝鮮は何とか貢物でしのいでいた。

しかしそんな中でも核開発を推し進め、核攻撃の即応態勢を完成させていた。


困窮した北朝鮮の国民の怒りは徐々に独裁者全栄進(ジョ・ヨンジン)朝鮮労働党委員長に向けれら始めていた。

追い詰められた全委員長は、形成逆転を狙い大博打に打って出ようとしていた…


 朝鮮半島に間もなく厳冬が訪れようとしている2021年11月7日午前2時。

突如として北朝鮮から長距離ロケット砲数百発が、ソウル市内の政府機関、軍関係施設を中心に韓国全土に撃ち込まれた。

停戦合意が一瞬で破られた。


ほぼ同時刻に、世界主要国にある韓国大使館は、何者かによる破壊工作を受け多くの犠牲者を出していた。


 北朝鮮は停戦合意破棄と宣戦布告を、日本、アメリカはじめ主要国に通告した。

併せて国連を通じ加盟国に対し、5日以内に自国民を韓国から引き上げるように通知した。


 砲撃が止む直前に、数日前から休戦ライン近くに潜んでいた特殊部隊兵士5万と夜中に休戦ライン近くに移動した朝鮮人民軍地上軍5万の合わせて10万の兵力が一斉に韓国側になだれ込んだ。

同時にソウル市内に潜んでいた特殊部隊隊員が、政府機関や軍関係機関に奇襲を仕掛けた。


漢政権がアメリカを軽視したことによる、あまりにも大きな代償だった。


ジェームス大統領は、融和政策を盲目的に推し進める漢政権にうんざりし、韓国内に駐留していたアメリカ軍のほとんどを、状況不安定となった中東に振り向け、最友好国イスラエル援護に就かせていた。


恐らくそれは表向きの理由で、ジェームス大統領は就任時から世界地図のどこにあるかも分からい、有色人種のアジアの小国を守る気など無かったのかもしれない。


本来戦闘指揮を行うはずのアメリカ軍は、大幅に縮小した為に全く機能せず反撃を試みることは無かった。


指揮命令系統を失った韓国軍は、ほとんど戦わずして投降した。

その日の日没と共に、韓国は北朝鮮の統治下に入った。


 漢大統領の悲願であった南北統一が実現し、夢が叶った瞬間だった。

統一と同時に、お膳立てをした最大の功労者漢大統領自身の居場所が無くなる皮肉が待っていた。



 北朝鮮が韓国に侵攻した日の早朝、私は官邸危機管理センターに官房連絡室の一員として召集された。


北朝鮮の韓国侵攻から12時間後に、南北統一の情報が私にも入ってきた。

ほどなくして、漢大統領はじめ政府要人が平壌に空路移送されたとの情報も入ってきた。


その翌日には、移送された韓国政府要人と入れ違いに、ソウル市内にある駐韓ロシア大使館、在韓中国大使館に人員が大幅に増員されたとの情報が日本政府にもたらされた。


やはり電撃侵攻作戦の後ろには、この二つの大国がいるのだろう…

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