おとなになったら。
おとなになったら,
どんどん平気なものが増えて行くのかなって,そんなふうに 思ってた。
おとなになったら,
どんどん『だいじょうぶ』がたくさんになって,追い付けないあれやこれやもスムーズに行くのかなって。
おとなになったら,
両親に温泉旅行のひとつでもプレゼント出来るものだと思っていたし,
おとなになったら,
おおきな家を買ってあげられるのかなぁ,なんて 夢みていた。
『おとな』は概念だった。
『おとな』にはなれなかった。
時だけ経って,
年だけ取っても
『おとな』は わたしのことじゃ無かった。
『おとな』は どこにも いなかった。
きゅうくつな肩書きだけを押し付けられて,
きょうも,そんな年齢でキチガイだとか気持ち悪いとかイタいとか栄誉と真逆の称号を貰って,
数字だけで決められてって,
『おとな』はどこにもいないんだ。
わたしの中にも,
この世の中にも。