プロローグ
ーーーーー夢と現実の境目ーーーーー
僕達は、この境目の世界で出会い、恋をした。
この世界の物語が進むにつれて
僕達の恋も、少しずつ力を無くす。
まるで、時計の針が、一秒一秒、時を刻むかの様に....
そして、その恋は、甘く熟した果実と同じで
最終的に、収穫され、消えて無くなる。
荒波や雪崩の様な、膨大なエネルギーの流れには、僕達二人は、あまりにも小さすぎた。
それでも必死に足掻いたつもりだ。
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空にしっとり染み出した黄金色の夕焼けを、二人で見つめながら彼女は言葉を零した。
『ねぇ....これで全部終わりだね.....今まで本当に.....ありがとう....
.....でも、私達なら必ずまた、お互いの事を思いせるって信じてる』
その言葉と同時に、枷が外れた様に世界がぼろぼろと崩れ始める。
「こちらこそありがとう......僕はこの世界で君に出会えてよかった....
僕は、必ず君を思い出してみせる、絶対に迎えにいくから!!」
その言葉を聞いた彼女の瞳には、今にも零れ落ちそうな涙が溢れ
それはついに、瞬きと同時に夕陽に照らされ、頬を撫でた。
『最後にきいてもいいかなぁ?』
「.....うん、いいよ」
だが、突如地面や風景、世界そのものが歪み始める.....。
徐々に声が遠くなっていく。
彼女の声が.....聴き取れない。
『..................................................』
『..................................................』
「ごめん、聴こえないよ。何ていってるの?」
僕は必死に、彼女に問いかけた。
『....私の.............た.............は.........』
ついに目の前が真っ暗になり、彼女の声も聴こえなくなった。
「必ず.....迎えに行くよ、君を......」